「獲得広告」はわかっても「認知広告」はわからない
例えば、1000人のユーザがYahooバナー広告をクリックし、そのうち10人が資料請求まで到達した場合、広告クリックからの獲得率(コンバージョン率)は1%となります。仮にMSNバナー広告からの獲得率(コンバージョン率)が5%(1000人中50人の割合)だとすると、Yahooバナー広告よりも獲得効果が高い広告媒体となります。また、広告を出稿する場合、媒体サイト(メディア)毎に広告メニュー料金は異なるため、広告の投下予算に対する広告インプレッション単価(CPM)、広告クリック単価(CPC)、獲得単価(CPA)などを算出し、その費用対効果を検証します。
コンバージョン分析で、ユーザの行動プロセスが分からない最大の理由は、そもそもコンバージョン分析が、同一セッション内におけるユーザ行動を前提とした分析データを基準としている点にあります。広告反応を例に見た場合、コンバージョン分析では、購入時点で接触した広告(獲得広告)を知ることは出来ても、購入者の行動喚起に影響を与えた広告(認知広告)を知ることは不可能です。
言い換えると、コンバージョン分析は、広告を1回クリックしたユーザがそのまま資料請求を完了する場合にのみ成立すると同時に、これが限界値であることを意味します。つまり、ユーザ行動プロセスを把握するには、同一セッション内の行動履歴ではなく、過去に遡ったセッションに含まれるユーザ行動履歴が重要なデータとなるのです。
反映した新しい効果検証の仕組みが必要となる

ユーザー行動プロセスを把握することが重要
さて、行動ターゲティングの視点は、行動結果ではなく行動過程にあり、インターネットユーザの行動様式における要因とその時間軸(時間の経過)での推移をマーケティングデータとして数値化することにあります。
広告プランニングに行動ターゲティングを用いることで、ユーザが接触した一連の広告履歴から認知広告のポストインプレッション効果とその波及効果の持続期間を定性的な指標に基づき、より戦略的なメディアへのコスト配分と投下サイクルを最適化することが可能となります。
特に、広告分野における行動ターゲティングの利用は、新しい広告効果検証の基軸となり「購入のきっかけはどの広告なのか?」や「広告接触からどのようにサイトに誘導されているのか?」という問いに答えることが出来るでしょう。行動ターゲティングは、媒体サイト(メディア)の集客力に頼ったマスアプローチから脱却をし、インターネット本来のインタラクティブ(双方向的)な仕組みを反映した分析手法により、認知向上や即時性といったビジネス目的に応じた広告プランニングを実現することができます。

次回は、行動ターゲティングを利用した広告効果により、これまで見逃していたユーザの一連の行動過程における広告接触を「見える化」し、従来のコンバージョン分析では計測することのむずかしい認知メディアの特定とその波及効果の継続期間を可視化・数値化し検証する方法を解説します。