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博報堂ヒット習慣メーカーズの中川悠と探る、マーケティングに必要な習慣化の秘訣

ベアーズが語る、家事代行の習慣化を実現するマーケ戦略【博報堂中川氏×ベアーズ後藤氏】

習慣化するまでに感動ポイントを用意する

中川:LTVを上げるために科学的なアプローチをされていますね。ちなみに、3ヵ月目で解約する方の最も多い解約理由はなんでしょうか。

後藤:今受けているサービスが良いのか比較するために、他社サービスに乗り換える理由が一番多いですね。初めてサービス利用される方が多いため比較対象がなく、他社のサービスが気になるようです。

 ただ、この声を機に復活率というのも注視するようになりました。というのも、辞めてから3ヵ月、6ヵ月、1年の周期で一定割合の方がベアーズに戻ってきてくださるのです。そういった方に定着いただけるような施策も展開するようにしています。

中川:「お客様感動度120%のサービスを提供する」という話がありましたが、お客様の期待値を超えて感動してもらえるサービスを提供するために何か意識していることはありますか。

後藤:感動ポイントを用意することが重要だと思っています。ある程度習慣化すれば、多少感動が薄くても継続していただけるのですが、それまでに感動がないと、解約につながってしまうんです。

 そのため、我々はお客様が言語化していない課題を先んじて解決するようにしています。たとえば、お子様がいる家庭に訪問する際は子供が遊ぶ用に塗り絵を持参したり、お客様に言われる前におもちゃを消毒したりするようにしています。

 もちろん、お客様によって感動ポイントは違います。そのため、ベアーズレディにはマニュアルに載っていないことでも、お客様のためになるアプローチを積極的に行ってもらうよう教育しています。

スタッフへの信頼で習慣化のループが回る

中川:ベアーズレディのサービス向上も徹底しているんですね。『カイタイ新書』の中では、きっかけ、ルーチン、報酬を経て習慣化するという習慣化ループなるフレームワークを考案しました。御社のように定期利用の多いサービスには当てはまる部分が多いと思ったのですが、後藤さんは習慣化ループを意識していますか。

後藤:定期利用の流れと習慣化ループの親和性は非常に高いと思っています。ベアーズの場合、きっかけは「家事をアウトソースしたほうが、メリットがありそう」「もう家事に手が回らなくて限界」といったことが挙げられます。

 そして、定期かスポットか決まっていない状況で依頼が来て、一度お家にスタッフが訪問します。普段浴槽内くらいしか掃除しないお風呂も、30分くらいかけて床・鏡・壁面まで洗い上げ拭き上げまでしてピカピカにしたりするわけです。

 そこからリピートしてルーチン化してもらうべく、1回目のキャッシュバックや2回目以降のクーポンを配布するなどして、習慣化のループを回していきます。

中川:そして「お客様一人一人に寄り添った快適な暮らし」という報酬(ベネフィット)を提供していくわけですね。どの段階で、習慣化ループが回っていると実感するのでしょうか。

習慣化ループ
習慣化ループ

後藤:お客様からの信頼が獲得できたときですね。定期利用を始めると、お客様からカギを預かる必要があるのですが、そこに対して不安を感じる方も多いです。また、初期段階だと洗濯をする際も下着の洗濯はお客様がご遠慮されたり、掃除も多少整理したりした上で依頼が来ることがあります。

 しかし、ベアーズレディとお客様の信頼が生まれてくると、それらのことが気にならなくなってきます。そうすると、ループが回っていきやすいと思います。

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お客様の内面にアプローチしてLTVを伸ばす

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33838

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