コロナ禍における食の課題をコミュニケーションで解決へ
――オーガニックも広告も、食に関する社会課題の解決を基点としているからこそ、一貫したメッセージを届けられているのですね。
井上:はい。さらにコロナ禍では、休校や在宅勤務で家族がご自宅にいらっしゃるので、食事を作る機会が増えるなど、食に関する新たな社会課題が顕在化しました。コミュニケーションの面でなにかできないかと考え、Instagramで様々な施策を展開したんです。
たとえばステイホーム期間を少しでも前向きに過ごしていただくために、Instagramのアカウントでは、レシピ紹介に加え、家族の会話を想定した「ソーシャルディスタンスをトマトで表すと何個分?」といった投稿を続けてきました。
――ここでも、テキストとビジュアルで表現できるInstagramの強みが生かされていますね。
井上:はい。また、Oisixの宅配段ボールを利用したサッカーやバスケットゲームの遊び方などもご紹介しました。Instagramのフィード投稿のフォーマットは、複数枚のビジュアルで構成できるため、段ボール加工のプロセスや遊び方を丁寧に説明できています。
本宮:ほかにもOisixではコロナ禍で飲食店や給食への供給が停止し、在庫を抱えてしまった生産者様を支援する「食べて応援」「購入応援」施策を行ってきたのですが、その周知にInstagram広告配信を活用しました。
特に3月の初めに行った、学校の給食用に卸す予定だった牛乳を販売した際は、会員以外のお客様からも多くの反響をいただきました。それを受けて、余ってしまった牛乳をたくさん販売して支援するため、Oisix「おためしセット」の食材として扱うことにして、その広告を他のWeb媒体に先行してInstagramに配信しました。
コロナ禍において企業が続けるべき「2つの発信」
――Instagramはコロナ禍を受けて、動画機能の充実や中小企業への支援など、人と人のつながりを支える取り組みを展開していました。企業がInstagramを活用するにあたって、アドバイスしていることはありますか。
大前:Instagramは、「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」をミッションとしてサービスを提供しています。家族や友人など、すでにつながりのある人だけではなく、興味関心や好きなことを起点に、情報収集ができる場です。好きなものに触れてポジティブな気持ちになりたいと考える生活者にとっては日常に欠かせないプラットフォームとなっていることから、コロナ禍においても利用が世界的に伸びています。
その上で、私たちは企業の皆さまへ2つのご提案を続けています。それは、お客様へブランドのメッセージを発信し続けること、そして、双方向のコミュニケーションを行うことです。
――まさに、Oisixさんが行っていることですね。
大前:おっしゃる通りです。Oisixさんはお手本になるケースだと感じます。
先ほど井上さんもお話されていましたが、料理やレシピ紹介だけでなく、お子さんが楽しめる塗り絵やアクティビティを提案したり、保育園の給食レシピを配信したりといった、食の社会課題を解決するというブランドのパーパスに沿った情報を、お客様のニーズに寄りそった形で発信し続けていらっしゃいました。また、アンケートスタンプを活用してお客様の声を集めたり、お客様の投稿をシェアするなどコミュニティ内のコミュニケーションも活発に取り組まれています。
――Oisix会員のお客様、そして新しいお客様からはどのような反響があったのでしょうか。
井上:まず、4月の緊急事態宣言下においては外出を控える方が増え、ネットスーパーや食品宅配サービスへのニーズが自然と高まりました。そのような社会的背景がある中、サービスのひとつとしてOisixを選んでいただいた方が比較的増えました。
Instagramでの発信をはじめ、これまでのマーケティング・PR活動により、ブランドが想起される状態ができていたことが根底にあったからこそ、お客様に選んでいただけたのだと考えています。