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売上アップにつながるSNSマーケティング

UGC数が1年で9倍、売上も伸長 個性派ブランドのジョンソンヴィルを「自分ごと化」させたSNS活用


UGCからUGCを生むためのリアクション

佐藤:UGCの創出のプロセスが回った事例で言うと、Twitterでリロ氏(@ly_rone)の動画投稿をきっかけとした流れがわかりやすいです。

 同氏はホットサンドメーカーで料理をする様子を短い動画で紹介しているインフルエンサーなのですが、たまたまジョンソンヴィルを焼いて食べる動画を投稿していました。依頼したものではありません。公式アカウントでは、そのツイートを公式で即座に引用リツイートしました。

 その結果、ホットサンドメーカーでジョンソンヴィルを焼くという投稿が非常に増えました。公式アカウントで引き続き引用リツイートなどで反応をしていくと、UGCの投稿に対しても公式アカウントの投稿を見ている人の目が集まるので、エンゲージメントが伸びます。そうすると、UGCを投稿した人も嬉しくなり、次の購入や投稿につながっていったんです。このご縁で、リロ氏との正式なコラボプロモーションも実現しました。

佐藤:UGCをタイムラインで見たユーザーがそれを真似た投稿次々と自発的に投稿してくれるようになったのです

海宝:ユーザーがドライブして、ブランドコミュニケーションの枝が増え、幹が太くなる。アーンドメディアが回っていく流れを強く感じました。

 一方で、エゴサーチや引用リツイート、リプライ、いいねなどの公式アカウント側からのリアクションを地道に続けてきたことも大切だと感じています。できるだけリアルタイムで反応してユーザーに感謝の気持ちを伝えたいと思っていますし、公式からの反応を喜んでくださっているリプライをいただいたりもします。ブランドへの好感度が上がってきていることも感じましたね。ユーザーさんとより親密な繋がりを持てるようになっていて、ありがたいばかりです。

いいたか:デジタルになると企業はオートメーション化したがるのですが、特にTwitterは「なう/Now」の文化なので、手作業でも瞬間的な話題性の中に入った方が良いという側面はあると思います。盛り上がりが終わった頃に入っても「後の祭り」ですよね。そういう意味では、地道な運用もキーになっていると思います。

UGC数9倍 売上にも伸び

いいたか:このような施策を続けた結果、どのような成果が出てきたのでしょうか。売上の成長に関しても教えてください。

海宝:本格的なSNS活用の開始は2019年8月頃だったのですが、2020年5月のUGC数を昨年同時期と比べると約9倍になっています。画像付きの投稿のみに関して言えば約105倍です。これはいずれもBotなどを除いた純粋なUGCのみ抽出した結果となります。下図で、言及数が右肩上がりで積層しているのがわかります。例年と比べて「異例」ともいえる結果でした。

言及数の変遷を示すグラフ

 当然、売上にも大きな成果が見られました。POSデータをデイリーで見てみるとジョンソンヴィルは週末に購入いただくことが多いのですが、POSとリツイートなどすべてを含めたクチコミの数(下の図では言及数)、リツイートやBotを除外したUGCの数でその関係を見てみると、週末のPOSの売上がクチコミの数に比例することがわかります。右肩上がりでUGCを伸ばしてこられたので総売上にも貢献しています

1日の売上と言及数、UGC数の関係を表したグラフ。四角で囲まれた部分は土日の売上。平日の言及数が多いと週末の売上が高くなることがわかる
1日の売上と言及数、UGC数の関係を表したグラフ。四角で囲まれた部分は土日の売上。平日の言及数が多いと週末の売上が高くなることがわかる

いいたか:当初の狙い通り、中間指標であったUGCが売上への成果を上げることを確認できたわけですね。最後に、これまでの施策を通して気づいたことを教えてください。

海宝:ブランド戦略全体の中でのSNSの役割を定義し、KPI・KGIとの連動をモニターしつつ、UGCを増やす施策を行う。こうした正しい順序を踏んでいけば、アーンドメディア活用で売上を伸ばしていけるという点は、本当に大きな気づきでしたね。施策が効いているのかをPOSの相関を見るなどして、数値の因果関係をきちんとレビューしていくのも大事だと、改めて感じました。

 また、商品がどのようにユーザーに消費されているのか、どのようなブランドイメージを抱かれているのか、どういったコンテンツを発信すればユーザーに喜ばれるのか? といったリアルな情報は、自分の手でSNSを動かさなければ絶対にわかりませんでした

 SNSを毎日見ているからこそ得られる肌感覚やインスピレーションは、非常に大きな副産物です。予約投稿など、自動化できる部分はツールを使うのも有効ですが、運用代行や月に1回程度代理店から推移レポートが送られてくるだけでは、こうした知見は得られないでしょう。

いいたか:無作為に施策を行ってバズを起こしていくのではなく、売上が上がったのか、何が売上に貢献していくのかを見続けることは重要ですね。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/10 13:01 https://markezine.jp/article/detail/34006

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