習熟度・目的別に読むべきコンテンツを案内する
同社はポッドキャストやウェビナーなど様々なコンテンツを配信していますが、ホームページには「EDUCATION」という項目が設けられており、顧客を育てる、つまり顧客に学んでもらうためのコンテンツが豊富に用意されています。
目を引くのは、「様々な客層に合わせる」という姿勢を示している点です。ホームページでは「New Investors(投資初心者)」「Current Investors(現役の投資家)」「Vendors(売り手)」と、オーディエンスの不動産投資に関する習熟度や目的別にどのような行動を取ればよいかを案内しています。この構造はオウンドメディアを運営するうえでも大いに参考になるでしょう。

読むべきコンテンツを示している(同社ホームページより)
忙しい顧客にサービスの魅力を端的に伝える
オーディエンスがコンテンツに触れ、アクションを起こす必要を感じた段階ではじめて、サービスの魅力を伝えていきます。再びBiggerPocketsの事例に戻ると、Webサイトには、不動産投資がいかに優れているかを説明する記事が複数用意されています。カスタマージャーニーを意識した導線設計が素晴らしいですね。
記事や映像、音声には、重要な情報をじっくり届けられるという利点がありますが、忙しい方はなかなかそのようなコンテンツに触れる時間がない場合もあります。そこで大きな効果を発揮するのが、情報を図で可視化したインフォグラフィックです。
たとえば不動産情報提供サービスを展開している米国のMOVEは、不動産関連情報を様々なオウンドメディアを通じて提供しています。その一つ「HouseLogic」では、「THE BENEFITS OF HOME OWNERSHIP」と題されたインフォグラフィックを紹介しています。お金の利点はもちろんですが、「新聞を読む頻度が増える」といったことまで、数字とともに紹介されています。

(Infographic Journalより)
インフォグラフィックのような一目で情報を捉えられるコンテンツを作るときに大切なのは、客観的なデータをわかりやすく明示することです。「魅力」を伝えようとコンテンツを作ると、感情的、観念的なものになってしまいがちですが、納得感をもたらす情報こそ重要です。それが後々の顧客の信頼につながっていきます。
「場の提供」もコンテンツマーケティングの一つ
Webサイト上でナーチャリングを進めた上で、次の一手としてセミナーや相談会を案内することもあるでしょう。こうした手段は日本でもあらゆる企業が行っていますが、BiggerPocketsは不動産投資を学ぶ「会場」を提供しています。同社の会員がオンライン上で情報交換を行うページをWebサイト上に設けているほか、「イベントに関して同社がサポート、スポンサーになることはなく、参加には注意が必要」と明示したうえで、不動産投資に関するイベントが開催されることを地図上に示すページを設置しているのです。開催者は同社の会員で、参加費無料のものから有料のものもあります。

(BiggerPocketsホームページより)
オーディエンスはこのような場を通じて、商品・サービスに対する「一体感」を味わうことができます。同社は場所を提供したに過ぎませんが、ここまで持ってくることができれば、企業側から働きかけずとも、不動産投資に対する関心・知識が高まっていきます。このケースも一つのコンテンツマーケティングといえるでしょう。