見込み客の学習を支援するプロジェクトの進め方
ここに挙げたコンテンツは一部に過ぎませんが、上から下の状態に進むにつれて見込み客の母数は少なくなっていきます。また、導入までのスピードや確度も下の状態のほうが早く、高くなります。そんな中で、導入の確度が低く、ナーチャリングに時間もかかりそうな見込み客に1対1で対応するのは難しいでしょう。そこで筆者は、オンデマンド型ウェビナーやSFA、MAツールを活用し、少ないリソースでも最適なコンテンツを見込み客に届けられるようにしています。下図は、その考え方を整理したものです。

ウェビナーを視聴している母数は左側が最も多く、右に向かって少なくなっていきます。左側の見込み客の学習状態は「無知」や「Webサイトなどで情報を見て知ったつもり」になっているような状態です。これは、ウェビナーの視聴完了率や、視聴後のアンケートの回答の有無から判断できますが、こうした「不特定多数」の見込み客は、今はまだ学習をサポートする段階ではありません。
一方、視聴完了率が高いかつ、アンケートに質問などが書かれていれば、「特定多数」のサポートすべき学習者と判断し、次に獲得・習得すべき知識やスキルと、そのためのウェビナーコンテンツを提供することができます。このとき、アンケートの回答に応じて自動的にコンテンツを出し分けるか、人的に対応するかは使用しているツールによって変わります。ただ、自社で用意した見込み客のあるべき状態とそのためのウェビナーコンテンツが最適とは限らないため、最初は人的に対応し、どのような課題や質問が見込み客から出てくるのかを把握してから自動化を図ると良いのではないでしょうか。
アンケート機能を実装したウェビナー動画の例
※アンケートシステムは、7分23秒頃より。本ウェビナーはサンプル版のため、再生中に表示されるフォームに入力しても添削は受けられません。
自社の目標実現や課題解決のための知識やスキルを、支援を受けながら学習してきた見込み客は、自社製品導入後もより良く製品を操作・使用することができ、目標実現や課題解決に成功する可能性も高まってきます。
最後に、これまで述べてきた見込み客の学習を支援するコンテンツや体制づくりをプロジェクトとして進める場合の進め方をプ譜で表しました(プ譜については、連載1回目をご覧ください)。

図中の「◆◆◆」の部分には見込み客が持っている目標や課題を、「●●●」には自社製品の名称を記述してみてください。これを自社に適用することで、どのような作業が必要なのかが一通り考えられるようになりますので、前掲のウェビナーコンテンツを考えるシートと合わせてお役立ていただければ幸いです。
プ譜とは
プ譜(プロジェクト譜)は、プロジェクトを構成する諸要素と関係性、進め方をアウトプットし、記録するのに適した表現形式。変化する局面を常に最新の状態にし、遭遇した事象や獲得した情報に応じ、目標を見失わず、状況に応じた個別暫定解を出し続けることができる。
