コンテンツマーケティングの心がけは、覚悟と価値の拡大
それでは、コンテンツマーケティングの実践編に入る。
まず福田氏は、マーケターの心がけとして「目的×ゴール×覚悟」を挙げた。ここまで、目的とゴール設計の説明を重ねてきたが、本当に必要なのは「覚悟」だという。
実は福田氏が始めに手がけたコンテンツ「ゼロからはじめるクレジットカード」は、もともとの評価が比較的高いドメインを持ちつつも、納得のいく成果がでるまで8ヵ月を要している。
「コンテンツマーケティングの成果は、とにかく時間がかかります。マーケターもベンダーも、“コンテンツはユーザーにも会社にも貢献できる。3ヵ月のトライアルではなく、まずは1年間やりぬく”と覚悟を決め、宣言しましょう。そのためにも、まわりを巻き込み、孤立しないことです」(福田氏)
とはいえ、社内でなかなか同意や承認を得られないケースもあるだろう。そのようなときは、1つのコンテンツを多様に活用する意識を持つと良い。
例えば、1つの調査から記事を作り、さらに広告やPR、営業資料にも活用していく。すると、コンテンツの価値がコンテンツマーケティング内だけに留まらず、社内への貢献に繋がるのだ。
あわせて、「作って終わり」にしないことである。内容のクオリティだけではなく、表示スピード、アクションボタンの押しやすさ、デザイン性なども考慮した読みやすい設計が必要だ。
そして、ソーシャル内の話題化を表すソーシャルシグナルも無視できない。福田氏自身も、自社のコンテンツがソーシャル内で話題になっていたとき、該当コンテンツの検索結果も上位になっていた経験がある。「コンテンツを使い尽くす発想を持とう」と語った。
社内が味方するコンテンツの作り方
続いて、Reproのコンテンツの作り方を紹介する。
一人ひとりのユーザーを大切にし、企業と顧客の関係を長期的に構築する「カスタマーエンゲージメント」を提唱する同社。實川氏がメインで担当するメディア「engagemate」は、このカスタマーエンゲージメントを広く啓蒙する、ブランディングの役割を担っている。
メインコンテンツのインタビューには、マーケティング業界のキーパーソンやインフルエンサーをキャスティング。話題性やクオリティにこだわり、メルマガ登録やお問い合わせへと誘導する。
また福田氏と同様に、實川氏も1つのコンテンツが様々な利益を生み出すような設計を意識していると話す。
「コンテンツは、営業が使えることも意識して作ります。お客様に直接接する営業にとって、参考になるコンテンツでありたいんです。コンバージョンだけでなく、付加価値も作りたい」(實川氏)
直近でも、コロナ禍におけるマーケティングの考え方をいち早く紹介したコンテンツは、閲覧数が多かっただけでなく、営業からも高い評価を得たそうだ。