今作るべき2つのウェビナーとは?
世の中と自社の状況を把握できたら、続いてはウェビナーの設計に入る。ここからは、シャノンが実際に行った事例をもとに解説が行われた。まず村尾氏は「ウェビナーには大きく2つの種類がある」と語った。これらを分けてコンテンツを考えないと、集客した見込み顧客とのギャップが生まれてしまうという。
その2つとは、興味関心層向けの「関心引き上げウェビナー」と、比較検討層向けの「製品紹介ウェビナー」だ。前者のまだ興味が浅い人たちに自社製品の特徴を熱心に売り込んでも、むしろ引いてしまう。一方、後者はかなり購買段階に近いため、自社製品が持つ魅力をしっかり届けるほうが効果も見込めるという。
特に失敗しがちなのが、ボリュームが大きい興味関心層向けに製品紹介を頻発してしまうこと。これだと獲得したリードがまったく次につながらず、ウェビナー自体が持続しない結果を引き起こしかねない。
たとえばシャノンの場合、興味関心層向けには同社が提供できるマーケティングに役立つ話題を中心に、「BtoBのデジタル施策」や「ウェビナー実践者の座談会」などを企画。一方で、すでに比較検討の段階に入っている方々には、しっかりと製品の良さを理解してもらえるウェビナーを開催している。
「製品紹介と違って、関心引き上げのためのコンテンツ企画は少し難しいかもしれませんが、ここで数と質ともに厚い内容を生み出せる体制を整えておけると、そのコンテンツは外部セミナーや記事掲載のためにも展開できます」(村尾氏)
ウェビナーをベースにしたリード獲得と引き上げの考え方
この2つを分けて考えると、ウェビナーをベースにしたリード引き上げの道筋も見えてくる。関心引き上げウェビナーを視聴した人のうち、一定割合の人に製品紹介ウェビナーに申し込んでもらい、そこからさらに一定割合を個別商談へつなげる……という流れだ。各フェーズにおいて、前段階から進む割合がすなわち転換率になる。この転換率を高めていくことが、ウェビナーによるリード獲得と引き上げのKPIになる。
ここまで、ウェビナーに取り組む前に確認すべきこと、またウェビナーの種類とリード引き上げの考え方が解説された。「こういった内容をお話ししても、やはり気になるのは集客の観点だと思う」と村尾氏は語った。
実際、集客の見通しが立たないと持続的なウェビナーに踏み出せない、体制作りも難しいという声が村尾氏のもとにも多く寄せられるという。その点は、どう対処すればいいのだろうか?
まず考えるべきは、今すぐ使えるアセットとして何があるのか、ということ。オフラインのイベントがなくなったからといって、当然ながらその予算をウェビナーにスライドできる企業はほぼいないだろう。
「むしろ、コロナのために人の配置を含めてコストカットを迫られる企業も少なくないと思います。そこでまず注目したいのは、過去に展示会や営業が訪問した際に獲得した名刺を活かすことです。デジタル化していないならこれを機にデジタル化して、関心引き上げウェビナーへ誘導するアクションが有効です」(村尾氏)
その際には、マーケティングオートメーション(MA)ツールでの細かいメールアプローチが役に立つ。シャノンマーケティングプラットフォームの活用例だと、複数情報を掲載したメルマガと、ウェビナー情報のみをしっかり伝える1to1タイプのメールを併用して集客を伸ばしてきた。