DXに貢献するECシステムは、データのスムーズな取得・活用が必須
日本のECの歴史は20年を超え、実績あるECシステムほどその歴史の長さを背負っている。物販ECに最適化されたシステムから選択せざるを得ないことから、「とりあえずECを作った」という事態に陥ってしまう原因のひとつだろう。
「ECシステムがスタンドアローンであることが原因だと思います。きちんと在庫が割り当てられているか、情報が更新されているかといった課題が指摘されるように、リアルビジネスの二番手になっている。オムニチャネルを語る際によく言われることですが、全社的には問題なくとも、店舗ごとには在庫や売上を取った・取られたになるという組織上の課題があります。
DXに貢献するためのECシステムは、データがスムーズに取得され、活用できることが必須要素です。データにより、利用する消費者にとっても、運営する事業者にとっても、価値や利便性が高まるイメージです。リアル店舗のPOSデータのような密度ではなく、顧客IDに紐付いたデータが必要です。リアル店舗では、ECの閲覧履歴を踏まえて接客し、ECではリアル店舗で接客したデータを元に、メルマガやリターゲティング広告を送っても良いでしょう。事業者は、データ活用によってお互いが便利になることを踏まえてECシステムを選択するべきだと考えます」
GMOメイクショップでは、このような背景から、2019年5月にDXを実現する統合コマースソリューション「Axコマース byGMO」をリリースしていた。
「大規模EC向けに『MakeShopエンタープライズ byGMO』を提供していることから、ハイエンド向けのご相談をいただくことが増えていました。事業規模の大きな企業様は、カスタマイズを希望されます。その際にパッケージのECシステムを用いると、3、4年で古くなってしまい、その都度開発するコストがかさむことが課題でした。これを解決すべく、アップデートが可能なクラウド型ECシステム『Axコマース byGMO』を開発しました。
加えて、私たちはシステムを作るだけではなく、ECのプロフェッショナル集団です。多くの場合お客様は、自社のことしかご存じではありません。私たちはプラットフォーマーとして、商材ごとのジャンル傾向を知り、運用方法や売りかたを知っています。システムだけでなく、EC事業を成功に導くためのアドバイスも求められていることがわかりました。そこでAxコマースでは、システムだけでなくサービスを加えた『ソリューション』として提供しています。DXコンサルティングも行っていると言えばわかりやすいでしょうか。
さらに事業規模の大きな企業様は、システムは情報システム部門、ECの運用はマーケティング部門、そして経営陣と部署ごとに役割が分かれ、ご要望が異なります。従来行われてきた業務ごと、専門の外注業者が出入りしており、複雑化しています。だからこそ、企業全体としてのDXがどうあるべきかの整理ができていないことが多いのです。私たちは、業務、システム、デジタルマーケティングなど、必要とされるセクションごとのコンサルティングもご用意しています。とくに業務やシステムコンサルティングのニーズが高いです」