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成功体験を覆す、ゲームチェンジを仕掛ける メガネブランド「Zoff」のリブランディング

成功体験を覆す、ゲームチェンジを仕掛ける

――続いて、事業モデルのアップデートについてうかがいます。まずは、話題となったブルーライトカットレンズの無料化の意図をお聞かせください。

上野:Zoffでは、有料オプションだったブルーライトカットレンズを、無料の標準装備に切り替えました。このレンズが誕生してからも、目を取り巻く環境は大きく変わり、私たちの調査では約2人に一人が、1日に10時間以上もデジタルデバイスを利用しています。そこで、ブルーライトカットレンズはオプションではなく、当たり前の選択肢にすべきだと考えたのです。昨年から準備を進め、3月末にスタートする予定でしたが、コロナ禍で海外パートナーの工場から納品がストップした影響で、4月末からとなりました。しかし、テレワークの広がりもあり、ドンピシャのタイミングで始められたと思います。サービス開始日から8日間の昨対比では、オンラインストア全体の受注件数が5.5倍伸び、さらに同期間のブルーライトカットレンズ受注件数は62倍の伸びを記録するなど、このゲームチェンジは、お客様にポジティブな変化を生み出せたと捉えています。

――Zoffが生み出した成功モデルを、自ら変えていく選択をされたのですね。

上野:そうですね。さらに店舗のあり方にも、ゲームチェンジは起きています。ショッピングセンターやモール内に出店してきたZoffの売上は、コロナ禍を受けて、都市部よりも郊外店舗のほうが伸びています。都市部では、若い方たちがファッションの感覚でメガネを買いますが、郊外にあるZoffは「街のメガネ屋さん」で、ポジションが異なります。ブルーライトカットレンズの無料化も、地方局を中心にCMを放送し、反響の大きさに驚きました。そもそもメガネは、フレームとレンズを組み、お客様が実際に装着した状態で見え方の調整をしなければなりません。ですからZoffのサービスは、ECで完結せず、店舗なしでは成り立たないのです。都市部を軸とした流行起点の店舗経営では、「どこに出店するか」が重要でしたが、私たちが目指す生活に必要不可欠な店舗には、スタッフによる価値の創造が必要。今後も出店計画は、都市部と郊外店舗のバランスを見ながら考えていく予定です。

実用化にこだわるZoff Eye Performance Studio

――また、研究・開発を担うZoff Eye Performance Studioの設立も発表されました。

上野:5年、10年先にあるメガネ業界の構造変化を見据え、研究開発に投資しました。世界を変えたいと考える個性的なメンバーたちが、スタートアップ企業などと連携し、ハードの開発を進めています。もちろん彼らに任せるだけではなく、私自身も人工知能をはじめとした、最先端の技術の領域を学んでいます。彼らを通して最新の事例をキャッチアップし、会社の方向性を常に定め直していかなければ、変化のスピードにはついていけません。

佐藤:Zoff Eye Performance Studioのおもしろい点は、実装へのこだわりです。Zoffが20年かけて実現してきた、リーズナブルな価格のメガネや、ブルーライトカットレンズ、花粉対策メガネも、大きなイノベーション。このようなメガネの新しい価値を、1つでも2つでも生んでいくためにZoffができることを、同スタジオは探し、見つけていくセクションでもありますね。

――リブランディングを進めていくにあたり、デザイン面ではどのような点を重視されていますか。

佐藤:今回のリブランディングでは、ブランドロゴは大きく変えずにリファインに留めました。ロゴを刷新するリブランディングもありますが、ビジネスは日々の改善とアップデートの積み重ね。これまでのブランド資産を分断するよりは、ロゴが持つ良い部分を残し、時代変化に合わせて整えていくほうが良いと考えました。Zoffの場合は、お客様はブルーのロゴに様々な印象や思い入れを持っていますから、それらを踏襲しモダナイズしました。気づかない方も多いと思います(笑)。

 私は他の仕事でも、ガラリとロゴを変えずに、旧ロゴと新ロゴを共存させながらリブランディングしていくことがあります。一般的に店舗のロゴを入れ替えるだけで億単位の経費がかかります。業種によっては一気に変えることも戦略ですが、マーケティングやリブランディングは瞬時に変わるものではありません。なので、まずは新店舗や新しいマーケティングを仕掛ける場面では新ロゴを用いながら、2,3年で全領域のロゴの入れ替えを進めていく。これが、事業に貢献するロゴ変更のひとつの正しい姿だと思います。

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ゲームチェンジを積み重ねた先に、リブランディングがある

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 09:37 https://markezine.jp/article/detail/34576

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