ニューノーマル時代の採用を勝ち抜くためには
これまでの採用活動の中で、ファネルに合わせた施策のオンライン化が、今後の採用成功のキーになるでしょう。

特に採用ファネル上の認知や興味段階では、ターゲットが日常的に使用するSNSやWebメディアを活用した、コンテンツマーケティングを行うことが効率的なアプローチにつながると考えられます。候補者が検討段階に入ったタイミングでグリップする際にも、これまで1対1で行っていたコミュニケーションをデジタルコンテンツ化し、1対nにレバレッジさせることも可能です。
最近、採用目的でのオウンドメディア立ち上げや、リファラル採用でメディアのタイアップ記事を活用する事例が増えているのも、採用のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる傾向にあると言えるでしょう。
もちろん採用においてオフラインがゼロになる、ということは考えにくいので「オンラインで効率化や最適化できる施策は何か?」を考え、シフトすることが重要です。
続いて、時代にフィットした採用マーケティングを行うための2つのポイントを解説します。
1.共感される文脈を捉える
1つ目は、ターゲットのインサイトや世の中の文脈を捉えて、採用コンテンツの設計をすることです。

情報がありふれ、スルーされる企業の発信が多い現代で、「誰に何を届けるのか?」をはっきりさせないコミュニケーションは致命的です。採用広報をプランニングするにあたって、今の世の中に「どんな文脈が響くのか?」を整理することが必要です。
最近は、世の中の文脈を捉えず、ターゲットとの温度差があるメッセージを発信して、炎上する事例も増えています。
我々はTHINKという自社ツールを使用し、若者のライフスタイルや価値観が顕在化しやすいSNSのデータを分析することで、その時々の文脈やインサイトを把握しています。最近では新型コロナウイルスの影響が大きく、企業それぞれの働き方や、事業の安定性などの文脈が注目されやすいです。
接着しやすいテーマを見つけるだけでなく、自社のファクトをどんな切り口やフックで発信するか、という点も重要です。
また、文脈を捉えることは、ターゲットのニーズを把握することにもつながります。SNS上のデータでは、今年は特に「学生の不安」が顕在化し、オンライン採用で企業に求める声なども顕在化しました。そのような声を拾い、企業として応えていくことも、イメージの向上につながり、採用広報に寄与するでしょう。
2.タッチポイントの選定と導線設計
2つ目は「どこで何の情報を発信するか?」の媒体の選定です。

各SNSや就活情報メディアなど、ターゲットとのタッチポイントは多岐にわたりますが、それぞれで最適なコンテンツのフォーマットや、メッセージの伝え方があります。またメディアによっては、読者の志向性が異なるため、目的とフィットした媒体を選定する必要があります。
極端な例ですが、採用サイトのコンテンツをそのままTwitterで発信しても、トンマナが合わず興味を持たれにくいですし、イノベーター志向の読者が多いメディアで、事業やキャリアの安定を訴求しても響かないでしょう。
自社が伝えたいこと、競合他社、ターゲットの3要素を整理して、情報を置く場所を設計することが重要です。
最近では主要なSNSに加えて、noteを活用する企業も増えています。ミラティブは、スライドシェアなど他の採用ツールと連動させ、noteでは「何故そのような施策を実施したのか?」という担当者の想いやプロジェクトの裏話などを伝え、多くのエンゲージメントを獲得していました。
delyは「役員による採用活動のスタンス」をnoteで発信し、SNSで大きくエンゲージメントしています。
ベンチャー企業だけでなく、最近では大企業も徐々に活用し始めており、ダイキン工業は採用担当者の想いをnoteで発信し、学生から注目を集めました。
ソーシャルエンゲージメントという観点からみると、企業のメッセージというよりは、人としての想いや担当者の想いが、noteというプラットフォームを通じて伝わりやすいという傾向が見られます。
このように、年々新たな採用ツールが登場する現代では、「どの媒体でどのメッセージを、どんな風に伝えるか?」の設計が成功のキーとなります。1つ目のポイントで解説した、文脈を捉えるという点に加えて、「届けたいターゲットに届けるための導線設計」ができていないと採用マーケティングは上手くいきません。
これからの時代で活躍する社会人を増やすために
近年の成熟した日本社会では、昔と比べて「働く」という価値観が大きく変化し、最近の新卒、第二新卒世代では「大量一括採用」「終身雇用」という前時代的にスタンダードだった価値観も大きく変わっています。
加えて、今年はリモートワークやワーケーションなど、働き方の可能性も一気に広がったタイミングとなりました。
価値観が多様化し、世の中に「仕事のカタチ」が増える一方で、ジョブマッチングや企業とのカルチャーマッチのあり方も進化しなくてはなりません。最適な仕事に出会い、個のパフォーマンスを最大化させるために、デジタルネイティブなZ世代が社会人として活躍する時代にこそ、企業の採用マーケティングが重要なのです。