コンテキスト解析を通じてモーメント軸での広告配信を支援(GumGum Japan)
AIによるコンテキスト解析をソリューション化
行動ターゲティングが全盛であった2000年代から、当社ではAIを活用したコンテキスト解析エンジンの精度を高め、そのデータを蓄積してきました。AIコンテキスト解析エンジンは、ユーザーがリアルタイムで接触している記事の内容を、画像とキーワードの組み合わせから解析し、“文脈”を捉えて広告を配信するものです。現在では自社での活用に留めていますが、今後は「Verity」というソリューションとして自社ネットワーク外にも提供していく予定です。
広告主はVerityを使うことで、Cookieを含む個人情報に一切触れることなく、ユーザーがリアルタイムで興味を持っている記事コンテンツを特定することが可能です。また、ブランドにとって不適切な記事コンテンツを除外することもできるので、ブランドリスクを担保した広告配信が実現します。このアプローチでは、データの正確性、透明性、即時性の面でサードパーティデータを活用したターゲティングの精度を上回ると考えています。これにより、広告主が伝えたいメッセージを最適なタイミングで正しいユーザーへ届けることを支援します。
ネット広告の設計思想が変化する
一般的なユーザーの視点で考えた場合、Cookieレス化がもたらす体験のインパクトは限定的であると考えています。既にGDPRが施行されているヨーロッパを例にとっても、生活者の実感は「オプトインを多く求められる気がする」「追いかけてくるような広告が減った」といった感覚に留まるようです。一方でマーケターにとっては、サードパーティデータを使った広告配信やCV計測などが不確実なものになっていくとしても、ブランドとユーザーとの接点をいかに良質なものにするかを考える、いわゆる“BrandSuitability(ブランド適合性)”を追い求めることは不変です。
今後ブランドは目指すゴールに向けて、コミュニケーションの設計思想を変化させる必要があります。特にコミュニケーションを設計する上でペルソナの持ち方と、その施策における評価方法が大きく変わるでしょう。具体的には、従来型の属性を軸にしたペルソナ設計から、心情(モーメント)を軸にした設計に代わり、効果測定もデジタル上で完結させようとするパフォーマンス型から、全体のコミュニケーションに寄与するドライバー(またはタッチポイントの1つ)としての位置付けへ転換されていくのではないでしょうか。それを実現するものとして、モーメント軸でのコンテキスト広告や、どのようなビジネスゴールへの影響度があったかを測る、非従来型の効果指標が求められると、私たちは考えています。今後はコスト至上主義の販促を目的とした従来型のネット広告から、人の心を動かすことを目的としたブランディングとしてのネット広告がメインストリームとなることを期待します。

GumGum Japan Head Of Sales
松本 亮氏