確実に成功するコンテンツ制作の「いろは」
製品サービスを開発・販売している企業には、必ずコンテンツが存在します。セミナー、展示会、Webサイト、営業資料、営業トーク、技術資料、スペック資料、自社コンセプトなど、見込み客の購買行動に影響を与えるものすべてがコンテンツです。1から作り出す必要はなく、これら既存コンテンツを活用することにより、最小の労力でコンテンツ作りを始めることができます。
それらを活用しコンテンツ制作をスムーズに開始するには、ステップが3つほどあります。ここからはそれぞれについて、順を追って解説していきます。
(1)既存のコンテンツをカスタマージャーニーに沿って分解する
(2)分解した情報を再編集する
(3)再編集したコンテンツの最適な置き場所を探す
(1)既存のコンテンツをカスタマージャーニーに沿って分解する
どの会社も持ち合わせている既存のコンテンツが営業資料です。営業資料には、自社の営業担当者が商談で見込み客の態度変容を促すための情報やノウハウが凝縮されており、この情報を利用しない手はありません。営業資料を、前号で説明したカスタマージャーニーの流れに沿って、ペルソナが態度変容を起こすためプロセス別に分解します。
たとえば、優秀な営業資料やトークの冒頭は、商談相手のお客さんに課題に気づかせたり、課題を明確化させたりする切り口から始まることが多いもの。中盤になれば、課題を解決するためのソリューションや事例の提示、終わりに近づくと価格や導入の方法の紹介がある……。みなさんお気づきかと思いますが、優秀な資料の多くは既にカスタマージャーニーの流れに沿っています。
(2)分解した情報を再編集する
これはマーケティング部門と営業部門の立ち位置の違いから説明するとわかりやすいかもしれません。営業部門が営業資料を用いてお客さんと商談をするときには、お客さんは自社のことをある程度知っており、営業資料はその前提で作成されています。一方、一般的なマーケティング部門の役割は、これまで接点のなかった見込み客との接点を「1対N」という視点で作り出すこと。そのため、営業資料を分解したとしても、情報を再編集せずにそのまま流用してしまうと、自社のことを知らない見込み客には刺さりづらいのです。そのため再編集を行い、表現や言葉遣い、言い回し、専門用語を変える必要があります。図表2はその参考として活用できるでしょう。

(3)再編集したコンテンツの最適な置き場を探す
一般的な方法としては、オウンドメディアなどの場所を作り、ペルソナが滞留している媒体に情報を置いてあげることが挙げられます。また、ニッチな領域であればあるほど、特定の団体やメディアが影響を与える情報源であることが多いため、寄稿などを通じて、その場所にコンテンツを提供することも有効な手立てです。
また、コンテンツ制作に取り掛かると必ず出てくるのが、制作頻度の話。多くの企業が「コンテンツは(なんとなく短いサイクルで)作り続けなくてはいけないもの」と先入観を持ってしまっていることが多く、とても問題だなぁ、と感じています。コンテンツマーケティングは事業活動の一環であり、自社のビジネスモデルと関連性を持たせる必要があります。SaaS事業を例に考えると、製品単価が低くかなりの販売数を確保しないと売上が立たない場合、十分な量の案件を発生させなければならないため、継続的にコンテンツを制作し続ける必要性が高くなります。一方、一つひとつの案件が大型で、販売数にこだわる必要性が相対的に低い事業の場合は、コンテンツ制作・発信の頻度も相対的に低くなります。さらにSaaS事業では、ユーザー課金や従量課金など課金モデルも異なります。そのモデルに合わせてコンテンツの制作スタイルや継続性を考えることが大切です。図表3にコンテンツの制作スタイルの違いをまとめていますので、今一度自社のビジネスモデルと照らし合わせながら、制作の頻度を考えてみてください。
