データカンパニーへのパーセプションチェンジ
――調査会社からデータの利活用を支援する会社への進化というのは、自然な流れだと思います。企業としてもネットリサーチで厚い実績があるからこそ、マクロミルに自社のデータの利活用を支援してほしいというニーズが生まれるのでしょうが、一方で業界をリードした立場として「ネットリサーチならマクロミル」という印象も強いですよね?
はい、なのでそのパーセプションチェンジが、2020年以降の2つ目の重点項目です。もちろん、イメージだけでは意味がないので、顧客のマーケティング活動の上流から関与できる、つまり、課題にともに取り組み伴走できるパートナーとなれるように、しっかりとケイパビリティも整えていきます。
――データカンパニーへのパーセプションチェンジは、社内の皆さんにとって抵抗感などはないのでしょうか?
そうですね、今はないと思います。社内でその方向性を発信し始めた3年前は、ピンとこない人もいたでしょうが、やはり顧客と向き合う中で、ご相談いただく課題の難易度が高く、当時のケイパビリティでは対応できなかったりと、悔しい思いも強く変革が必要だと実感していたと思います。今では皆で、同じ方向性を見据えられていると思います。
今後、ネットリサーチやオフラインを含めたマーケティングリサーチの価値が減じていくわけではありません。それらを、各顧客の課題にどうフィットさせるか、どこでリサーチが必要なのかを我々が見極められれば、今まで以上に価値あるご支援につながると考えています。そしてその活動にはデータが不可欠なので、我々がデータカンパニーへ進化するのは必然だとも言えます。

既存の枠組みを超えた協業でマーケティング活動の上流から支援
――先ほども6年分の購買データがあるとおっしゃいましたが、データの利活用の支援は、蓄積されたデータがあることが前提になるでしょうから、単発のネットリサーチと違って時間軸で変化を追うことになりますよね。加えてマーケティング活動の上流工程から関与するとなると、まさに顧客のマーケティング活動に伴走するパートナーになるわけですね。
そうなるよう、目指しています。ただ、道のりが簡単ではないこともわかっています。その肝となるのはやはり、社員の成長です。そこでたとえば産学連携による育成であったり、顧客やパートナー企業への出向、外部人材の積極採用も進めています。
さらにその一環として2月に発表したのが、「マクロミル・コンソーシアム」の設立です。まさにご指摘のように、顧客の課題解決を時間軸をもってワンストップで支援するには、外部企業とのアライアンスを通じた体制づくりも重要です。コンソーシアム参画企業とともに、共催セミナーや個別案件での協業などを進めています。現状では、計5社に参画していただいており、今後も参画企業を増やしていきたいと考えています。企業のマーケティングを上流から、また様々な観点で支援できるよう、その意思に共感していただける方々に開かれた活動にしていきたいと考えています。
――こうした支援会社との協業が進むと、顧客にとってのメリットも大きいですし、潜在的なニーズは大きいのではと思います。最後に今後の展望をお聞かせください。
繰り返しになりますが、顧客のマーケティング活動をより上流から継続的に支援する「パートナー」になるのが大きな目標です。この領域を目指しているプレーヤーは他にもいますが、顧客の日々のデータの利活用を支援するという立ち位置が取れる企業は限られていると思います。顧客とのこれまでの関係性も活かした、マクロミルならではの優位性を確立していきたいと思っています。ただ、やはり企業が直面する課題が複雑さを増している中で、今後は一層、多様なプレーヤーとの協業が求められると認識しています。既存の枠組みを超えて、様々な皆さんと協力して、顧客のマーケティング活動の発展に貢献したいと考えています。