※本記事は、2020年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』59号に掲載したものです。
LEAPT 代表取締役 戸栗頌平氏
複数BtoB企業と起業を経て、マーケティングコンサルタントとしてBtoB専業マーケティング代理店へ従事。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立ち上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期の日本法人を牽引。現在、LEAPTにてBtoBマーケティング支援事業を行う。海外SaaS、マーケティング、カンファレンス等に精通。
過去2回の記事で、コンテンツマーケティングを開始し、軌道に乗せるまでのステップをお伝えしてきました。マーケティング関係者を取り巻くテクノロジーは日進月歩で、最新事情に追いつくのは非常に大変です。コンテンツ制作を行いながらとなれば、なおさらです。最終回となる本稿では、コンテンツマーケティングとテクノロジーを組み合わせて事業成長を加速していくための手順と、注意したいポイントをお話しします。
コンテンツは「燃料」、ツールはあくまで「エンジン」
筆者はこれまで多くのBtoB企業のマーケティング支援をさせていただき、米国のマーケティング、セールス、CRM、サービスツールのベンダー企業のインハウスマーケターとして勤務したこともありました。その経験の中で、コンテンツマーケティングとツールの活用に成功する企業は、次の3つの要素をすべて持ち合わせていたように思います。
(1)顧客課題の徹底的な理解
(2)ツールのコンセプトや機能の理解
(3)自社のツール運用能力の理解
残念なことに、活用がほとんどできていない企業は、自社や顧客の課題解決のきっかけを無意識のうちにツール導入に見出そうとしていることが多いと感じます。ツールありき、企業都合(もしくはマーケティング担当者都合)で、顧客の課題に向き合っていないのです。そうした企業でよく見られるのが、ペルソナやカスタマージャーニーを作らず、いきなりシステム図を作ってしまう、もしくはペルソナやカスタマージャーニーと同時進行で、システム図を設計してしまう状況です。
どんなに高機能なテクノロジーを目にしても、顧客の課題を忘れてしまってはいけません。常に顧客中心であるべきです。顧客はどのようなペルソナなのか、どのようなジャーニーを辿るか、それらを確かめるために最低限のコンテンツを作り、施策を打ってからシステム設計を行い、その流れに沿った運用可能なツールを選んでいくというのが、本質ではないでしょうか。連載の第1回を見ながら「カスタマージャーニーの図」を制作し、第2回で「コンテンツの切り口」と「コンテンツ制作のスタイル」を検討し、その後(一般化したものではありますが)図表1を参考にしながら、マーケティング部門に最もプラスな影響をもたらす施策を試してみましょう。いきなりツールを選び始めるのではなく、まずはここから始めてください。