売上だけを評価ポイントにしない
商品開発のポイントとしては、次の3つを挙げた。
1.ていねいに仕上げる
2.評価ポイントは多方面から
3.自社だけでやらない
「ていねいに仕上げる」では、「一番企画レベルが高い」という先述の加茂水族館とのコラボで作成したクラゲの傘を例にとる。最初は透けない傘で形も普通だったが、「クラゲなので透ける素材がいい」「クラゲの形を考えると傘の形はこうがいい」などとYOU+MORE!のプランナーが逆提案。すると、水族館の飼育員さんがクラゲの刺管の数や柄の位置など細かく伝えてくれ、よりリアリティのある製品となり、SNSを中心に大きく話題となった。「双方が持っている知識や経験をフルパワーで詰め込んだ商品になった」と豊川氏は語る。
「評価ポイントは多方面から」に関して、豊川氏は売上だけを評価ポイントにしないことを挙げた。正直、商品の中には話題になったが売れない商品もあったという。しかし、「商品の価値は高く、クリエイティビティも高く、話題にもなり、顧客に楽しんでもらえたという結果は出ている」と豊川氏。今後も同じようなアイデアが出たら再挑戦するという。
「自社だけでやらない」はコラボなど、自社に頼らない商品開発を指す。加茂水族館以外にも、様々な分野の企業やブランドとも商品開発を進めているという。その1つとして三幸製菓の煎餅「雪の宿」と組んでパジャマやポーチを作成している取り組み、ソフトバンクと組んだ「花かんむりになるスマホ充電ケーブル」などを紹介した。「ちょっとおもしろくて、みんなが知っているというモチーフを使って、共同で作ることも大切にしています」と豊川氏は語る。
アイデアを否定しない、やりやすい環境作りを
最後に豊川氏はブランディングのポイントとして、「市場で抜けているポイントを見つける」「圧倒的に勝てる強みを考える」「チームの雰囲気の良さが命」と3つにまとめた。
1つ目については、動物雑貨はたくさんある中で、ユーモアという要素を足すことでYOU+MORE!が市場で抜きんでた存在になったという。このように、既に存在する市場でも少しずらして挑戦することが、同ブランドの事例からもわかる。
2つ目の圧倒的な強みに関して、豊川氏は常に意識しているとのこと。商品の立体造形や新しい商材でどこと組むかなどを考えているそうだ。
3つ目のチームの雰囲気では、「あまり否定するとアイデアが出にくくなってしまう。みんながアイデアを出しやすい雰囲気にするのが大切」と強調した。
市場で抜け落ちている部分を見つけ、「本当に売れるのだろうか?」と思う商品でも徹底的に作りこみ、コミュニケーションもやりきる。そうして、唯一無二のブランドを作り上げてきたYOU+MORE!。同社のブレないブランディングへの姿勢は、多くの企業が見習うべきものがあるのではないだろうか。
