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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』デジタルクリエイティブの作法

3DCGがもたらすクリエイティブの進化とは

3DCGがクリエイティブにもたらす可能性

――3DCGをクリエイティブに活用すると、どのような表現が可能になるでしょうか。

芦田:3DCGの活用によって、クリエイティブ制作のワークフローが大きく変わると考えています。これまでのPDCAのサイクルは、クリエイターやマーケターの仮説をもとにクリエイティブを企画・制作して、広告を出稿・配信して結果をもとにブラッシュアップしていました。

 しかし、先ほどの極予測AIと3DCGを活用すれば、事前の予測で最初のクリエイティブの精度を極限まで高めることも、どんどん変化させることも可能です。さらに、企画を考える際もこれまではアイデアがあっても素材の用意が難しく諦めていたところがありました。しかし、3DCGを活用すればモデルや背景空間などをすべてイメージ通りに作れるので、非常に可能性があると思っています。

桐島:現在の写真や映像は2次元的な平面のデータしか見ることができません。VRやARが普及していくことを考えたときに、画像や動画を立体的なデータにしていくことが求められます。たとえば、ECでも3Dデータにすれば複数の画像を掲載せずとも商品を360度で閲覧できるようになります。

 3Dデータの活用は10年後には当たり前になっているでしょう。その頃にはスキャンをせずとも様々な角度からの画像や動画をAIが解析して立体データが制作できるようになるでしょう。極論、自分に似た3Dデータを広告に登場させることも可能になると思います。

 ただ、データ活用やプライバシーに関する課題や、スキャンで3Dデータにする工数とコストが大きいという課題があります。これらの課題を解消し、きちんと企業と生活者がWin-Winになる活用の形を模索しないといけないと考えています。

芦田:また、新しい顧客体験作りの手段にも3DCGが活用できると思います。たとえば、アパレルでも3Dデータでバーチャルショップを立ち上げることが可能です。

オンラインとリアルのスキマが生まれた

――御社が取り組んだ中で、成功事例は出てきていますか。

芦田:今は新型コロナウイルスの影響で難しくなったオフラインイベントに代替するオンラインイベントに関するご相談が増えています。たとえば、桐島のアートインスタレーションが見られるイベントをデジタル上で開催した際は、ファッションブランドのY's(ワイズ)の表参道店をバーチャル上で再現し、Y'sの洋服を店舗に行かずとも見ることができるようにし、話題作りに成功しました。

桐島:元々は、Y'sとコラボレーションした写真の個展やオリジナルVR作品を体験していただけるリアルイベントを開催予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で開催が難しくなってしまいました。そこで、バーチャル上にイベントを再現できないかと取り組みを進めたのが「ROWLAND KIRISHIMA ART PROJECT VIRTUAL Y's INSTALLATION WITH Panasonic FASHION STEAMER AT Y's OMOTESANDO VIRTUAL」です。

ROWLAND KIRISHIMA ART PROJECT VIRTUAL Y's INSTALLATION WITH Panasonic FASHION STEAMER AT Y's OMOTESANDO VIRTUAL
ROWLAND KIRISHIMA ART PROJECT VIRTUAL Y's INSTALLATION WITH Panasonic FASHION STEAMER AT Y's OMOTESANDO VIRTUAL

 スポンサーとしてパナソニック様にも協賛いただき、パナソニック衣類スチーマーとY'sのドレスを絡めたVR作品をバーチャルショップ内で見られるようにしたり、会期前にPRイベントとしてY'sのパリのアトリエを模したバーチャル空間でのオンライントークショーを開催したりと、マーケティングとしても新しい事例が作れました。

 今は新型コロナウイルスの影響でプレスの方を現地に呼ぶことが難しいですが、よりリアルに近い体験を提供することができましたし、トークショーへの参加者も非常に多かったです。

――この事例を通じて得られた学びや知見はありますか。

桐島:リアルとオンラインの間に、新しいスキマが生まれたということですね。リアルで得られる感動にはまだ届かないものの、よりリアルに近い感動を届けられる手段が作れたと考えています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/16 18:15 https://markezine.jp/article/detail/35130

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