プラスクラス・スポーツ・インキュベーションの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回はトレンダーズの黒川涼子氏と「スポーツ×女性マーケティング」について対談。その中では女性ならではのインサイト、そして女性にスポーツへの興味を持ってもらう方法を探った。
競技によって違いはあれど、カギは選手
平地:今回は、スポーツ×女性マーケティングをテーマにした対談を、トレンダーズの取締役社長である黒川さんと行います。近年女性ファンが選手の撮影をしやすい席を用意したり、ガールズデーを設けて女性向けユニフォームを試合で配布したりと、プロスポーツクラブでの女性マーケティング施策は活発になっています。
ひと昔前からの流れではありますが、カープ女子やセレ女(セレッソ大阪の女性ファンの総称)などの登場があり、Bリーグやラグビーワールドカップなど、特に女性客が多いスポーツも出てきていますが、まだまだ女性の観客動員はスポーツの興行において増やせる伸びしろがあります。そこで、そのためのヒントを黒川さんとの対談からあぶり出していきたいのですが、スポーツ観戦に女性を呼び込む上で一番大事なことは何だと思いますか?
黒川:選手のパーソナリティや背景を伝えることが、女性にスポーツへの関心を持ってもらうには特に重要だと考えています。
スポーツ観戦において、女性にとっての一番のハードルはおそらくルールの理解です。バスケットボールやサッカーは比較的シンプルですが、野球や2019年に大きく話題となったラグビーなど、競技によってはルールを理解するだけでも一苦労です。競技の魅力をフックに女性を呼び込むのは難易度が高いでしょう。
女性の場合、イケメン選手やストーリーがあって個性のある選手などに共感して入れ込んでいくので、それをクラブ側から作っていけるといいのではないでしょうか。
平地:本当にそうですよね。私たちも、選手の裏側を捉えた映像などの制作をチーム・クラブに提案しています。ただ、やはり事業規模が小さいクラブだと目先の集客が優先されることが多く、中長期の施策になる選手の個性を世に出していく施策にはなかなか投資できていないのが現状なんですよね。
麻雀のMリーグ選手のSNSフォロワーが多い理由
黒川:一層のこと、全選手のSNS利用をマストにして、自らパーソナリティを発信していけばいいと思うんですけどね。スポーツとは少し違うかもしれませんが、麻雀のプロリーグである「M.LEAGUE(Mリーグ)」では、ほぼ全選手がTwitterアカウントを持っており、フォロワーも最低でも数万人、多い方だと10万人規模となっています。
それだけのフォロワー数がいるのは、各選手の方がパーソナリティを感じさせる投稿を日々行っているから、そして選手同士のコミュニケーションもよく繰り広げられるため、Mリーグのファンが応援しているチーム以外の選手もフォローしていくからだと考えています。
選手にとっても個人にファンが付くし、クラブにとっては新しく集客できる見込み顧客の開拓にもつながるので、デメリットは少ないので全スポーツマストにしてもいいんじゃないかと思いますけどね。
平地:Mリーグのほとんどの選手が数万単位のフォロワーがいるのはすごいですね。選手数が違うとはいえ、Bリーグだとまだ数千人のフォロワーという選手も多いので、参考にできそうですね。
黒川:クラブ側としては、各選手がSNSアカウントで発信していることを伝えていくことが重要だと思います。また、選手に関してもフォロワー数が多い選手とフォロワー数の少ない選手が絡んでいくなどして相互送客していくとよいと思います。
選手の方もフォロワーが増えないと心が折れてしまうので、始めたての選手でもフォロワー数が増えていく支援をクラブや選手ができるとどんどん増えていくと思います。
平地:私も選手と会話をすることが多いですが、日常的にフォロワー数を気にしている選手は多いものの、どうしてもトレーニングなどの兼ね合いもあり、パーソナルブランディングなどは後回しになりがちなんですよね。でも、選手個人のキャリアを考えても個人でファンを付けていく活動は重要だと僕は考えています。
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道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)
1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...
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