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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

強者だけが生き残る「淘汰期」へ 米国におけるD2C最新トレンド

ミレニアル世代を狙え

 厳しい面も見えてきた米国のD2Cだが、強い追い風もある。1981年から1996年の間に生まれたミレニアル世代の存在である。前述のウッド氏は、「この世代は、従来型のマスプロダクトよりも、顕著にD2Cを好む傾向がある」と指摘。

 加えて、購買力の増すミレニアル世代は、店舗型の小売ブランドから「便利」「安い」「ホンモノ」の条件が揃ったD2Cブランドに乗り換えることに躊躇しないのだという。この傾向がキャスパーのマットレスの成功に大きな役割を果たしたとされる。たとえば、キャスパーは100日間返品自由、自宅への直接配送という太っ腹のポリシーで彼らのオンライン注文に対する不安を取り除き、さらに実際に返品された商品は恵まれない人たちに寄付してリサイクルするという、ミレニアル世代の正義感にドンピシャではまる社会貢献を行うことで忠誠心を勝ち取っている。

 ミレニアル世代より若いZ世代もデジタルネイティブであり、D2Cブランドにとり潜在的な上得意だ。eMarketerによれば、2020年に14歳以上の8,730万人がD2Cブランドの商品を、一人平均203ドル(約2万1,000円)分購入したと推定される。この人数は、前年比10.3%の伸びであり、2022年には1億340万人にまで増えると予想される。

 ただし、デジタルネイティブ世代は、プライバシー問題などに敏感でもある。データ管理やセキュリティで間違いがあれば、信頼を失うことになりかねない。国境を越えたD2Cであれば、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)へのコンプライアンスも重要となってくる。決済のセキュリティも強化が望まれる。

 このように、成長が鈍化したとはいえ、D2Cはいまだに有望な分野だ。オムニチャネル化と、若いカスタマーとの関係に重点投資することで、これからもサクセスストーリーは増え続けるだろう。

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この記事の著者

岩田 太郎(イワタ タロウ)

京都市出身の在米ジャーナリスト。米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の訓練を受ける。現在、米国の経済・司法・政治・社会を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』誌などの紙媒体に発表する一方、Webメディアにも進出中。昭和38年生まれ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/35305

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