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「withファン」レポート

バルクオムに学ぶ、D2C時代のマーケティング 利用継続を実現するCRMとは?

ユーザーの口コミは女性も4割

徳力:定期購買が軌道に乗るまでに一番主導していた施策は何ですか?

高橋:やはりオンラインマーケティングの施策です。はじめはInstagramの広告で、UGCでクリエイティブ試行錯誤したものが最初にあたりましたね。その後は、LINE@のボットでコミュニケーションを取りながら提案する方法がよく成果が出ました。それから、去年末から今年は、YouTubeのTrueView(動画広告)が伸長しましたね。

徳力:過去3ヵ月におけるバルクオムに関するSNS上の発言を分析したところ、最も意外だったのは、女性からのクチコミが全体の約4割あったことでした。木村拓哉さんのファンの方もいると思うのですが、それでも大きな数字です。これはどうしてでしょうか?

高橋:弊社の泡立てネットをご利用いただくと、バルクオム以外の洗顔料でも泡がフワフワになるので、男性ブランドの中では女性に使っていただいている率は高いと思います。

徳力:「全男性に使って欲しい」とつぶやかれている女性もいました(笑)。彼女や女性に薦められたら使っちゃう男性は多いかもですね。

高橋:直接薦められたり、プレゼントでもらったりすると「自分で選んで買ってみる」という高いハードルが自動的に越えられるので、重要なコミュニケーションプランだと思っています。

広告・宣伝の優先順位は? D2CにおけるQ&A

Q. デザイン制作はどのように分担しているのでしょうか? テレビCM、Web広告と施策が広がってくると世界観にバラツキがでそうです。

高橋:バラツキは許容しています。ブランドクリエイティブやパッケージなどはブランドチームが行いますが、テレビCMは私と野口代表が見ていました。また、店頭販促やWeb広告はオンラインマーケティングやセールスの部署がそれぞれ作っています。広告はブランディングと別物と捉えているんです。

徳力:バラバラで心配になりませんか?

高橋:アフィリエイトであれば記事チェックや事前チェックは行ってリスク管理はしています。社員自身がみな、自社の製品がほんとうに好きなので、ブランドを傷つけないようによく気をつけるようにしている、ということはありますね。

 一方で、ブランドデザインを踏襲したら売上が上がるかというと実際は違います。UGCを広告で使うときも、自分たちで可能性を狭めないで、ある程度のクオリティは担保しつつ、まあこれだったらいいでしょうとか、自分のフィードで出ても大丈夫かなといった感覚を頼りに手当たり次第試すことも大事です。見る人によっては、何これ? と声をいただくこともありますが、サイクルを回してみないと成果がわかりませんから、こちらであえて細かくレギュレーションはしません。

徳力:レギュレーションなどは組織の規模にもよると思いますが、とにかくソーシャルメディアに限っては、キレイすぎる広告が広告として認識されてないですよね。SNSのタイムラインって、元々ユーザーのものですし。

高橋:そうなんです。ユーザーの所有している世界に私達はお邪魔している立場でしかない。「せめて邪魔にならず、少しでも興味をもっていただけるクリエイティブ」というのは、やはりUGCが一番相性のいいものかなと。

Q.広告や宣伝費のポートフォリオや優先順位について教えてください。

高橋:オンラインが大部分を占めます。サンプリング広告みたいなリアルプロモーションはお休み中です。テレビCMは認知度に対する施策なのでタイミングをみて打っていますが、新規獲得につながるWeb広告が会社にとっては最優先です。

徳力:テレビCMはリンクがありませんが、そこからの獲得やKPIはどうですか。

高橋:テレビは、何らかの形で検索に紐付くと考えます。ですからテレビCMのKPIは認知度でして、それが上がると検索数もアップすると考えております。連動を掴むツールを入れたり、Web検索連動の広告を出稿したりもしています。それらの数字を見つつ、ダイレクトリンクでもそこで買うか買わないかなど、CPM的な判断もできるので、デイリーベースでチューニングをしている状態です。

徳力:広告を出すにしても、バルクオムのようにデータをしっかり握ってやっているのかそうでないかでは、かなりの違いがありますよね。

高橋:それは重要ですね。何を見るかと、LTVと初回の獲得単価という大きな指標を持つことが大事です。その上でリソースの投入を考えるので、まず、データをしっかり取らないと。「リピート率がわかりません」では話にならないので。

徳力:本当にそうですね。最後に、今日伺ったようなノウハウをBtoBtoCのメーカーで活かすなら、というアドバイスをいただけますか?

高橋:むずかしいですね。D2Cのセクションがないとしたら、新規事業を立ち上げられるのが一番だと思います。というのも、大きい規模の企業ではしくみを変えるより、しくみを作るほうが簡単だからです。スモールでデータが取れるので数字を持つために! を名目にするなど。販売商品もカラーを変えるだけなど、負担にならず、かつ直販でしか売れないものを用意して、価格も高めで出せば、小売さんにも角が立ちにくいです。

徳力:大変だけれど、データを持つためにはやっぱりECを自分で持ってみるのは大切なことですね。今日は、いろいろとありがとうございました。

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この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

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宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

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田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35365

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