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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

私たちのキャリア論(エージェンシー編)

身の丈に合わない仕事が自らを成長させる

石橋を叩いていないで渡ってみる

 新人時代に意識していたのは、石橋を叩いていないで渡ってみることです。1社目の会社は、新人だろうと放り出される環境だったので、「まずはスキルを磨こう」というよりも、やったことがないことでも「できますよ」と言い切って仕事をもらう覚悟を持つことを心がけました。そうするとお尻に火が付く。言い切った手前、どうやって課題にアプローチすべきかを思考して、本やニュースを読み漁り、説明できるように必死に考える。そのような形で課題へのアプローチを身に付けました。

 転機になったのが、27歳の時に担当したフィリピン市場へのPRプロジェクトでした。現地で何が話題になるのかわからないし、当たり前と思っていたことが当たり前ではなく、「なんだこれは!」と衝撃を受けました。それをきっかけにグローバルPRに興味を持ち、英語もたいして喋れない中、「アメリカでPRの仕事をする」という意志だけで退職し、見切り発車で渡米。語学学校に通いながらレジュメを送りまくり、「できますよ」のハッタリ精神で、現地のPR会社で雇っていただけました。現地では、ニューヨークの本屋に連日入り浸って立ち読みしたり、ニュースを見漁ったりして、現地のメディア・PR感覚をつかんでいきました。

 石橋を渡り始めて崩れてくるときもあるのですが、そうなれば必死に解決策を考えますし、そこで学んだことが今の糧となっていると感じます。

身の丈に合わない仕事でグローバルPRを極める

 一つは、グローバルPRを極めること。PRはマーケティングの根底にあると考えているので、1社目から一貫してPR畑にいます。

 さらにグローバルに目を向けると、国によってメディア環境はもちろん、文化、課題感も全く異なるので、現地と連携をとって現地事情を理解し、一緒に最適な解を見つける必要があります。毎回新しい発見があり飽きることがないですし、これを極めたら希少な人材になれるのではないかと。

 もう一つは、ちょっと身の丈に合わない仕事、Uncomfortable(快適じゃない)な環境をあえて選びたいなと思っています。

電通 PRソリューション局 グローバルコミュニケーション部 吉本妙子氏

電通 PRソリューション局
グローバルコミュニケーション部 吉本妙子氏

PR会社ベクトルで8年半勤務後、渡米。飲食を専門とするニューヨークのPR会社で約2年勤務し、電通へ入社。現在は、PRソリューション局で、主に海外PRを担当する他、ダイバーシティラボにも所属しLGBT調査も手掛ける。

マーケティング外の知識も学ぶことで突出した存在に

マーケティングに隣接した知識を業務に活かす

 新人時代は社内に多くのマーケターがいて、その中で自分がどのように差別化できるかを常に考えていました。特に業務を通じた経験値では先輩マーケターに負けてしまうと思っていたので、とにかく勉強をして、知識の面では少なくとも対等に立とうとしていました。

 ただ、身に着ける知識に関しても、マーケティングの一般知識だけでは差別化は難しい。そのため、マーケティングの基礎的な知識は学びつつ、自分の得意分野である数学や統計、データサイエンス、機械学習、プログラミングを独学で勉強しました。

 実務においても、それらの知識を活用しています。たとえば、調査業務でもアクチュアルデータをSQLから抽出してPythonで加工し、企画書に起こすまでのフローを、実際に手を動かしながらスキルを磨きました。

 このようにマーケティングに隣接する知識を得ることで、業務の幅が広がることを実感し始めたので、経済学、アート、サイエンス(数学物理生物)、テクノロジーなどの情報を積極的にインプットするようにしていました。

対外的に自分が見られる視点を持つ

 キャリアにおいて大切なことは、「自分のやりたいことを持つこと」だと思います。その「やりたいこと」は会社の目指していることではなく、自分が成し遂げたいことを指します。

 特に仕事を通じて、ソフトスキル(コミュニケーションスキルなど定性的なスキル)は会社を利用して自分に足りないところや得意なところを学び、ハードスキル(資格や学位など、評価基準が明確なスキル)は独学で学習していくことが重要だと考えています。

 また、社内のキャリア育成のみを重視しすぎないことも大事です。枠組みや知識、競争相手までも社内で完結すると視野が狭くなります。特に、広告会社でのマーケティング業務は様々な業種に携わることができる一方で、広告という狭い領域のマーケティングに閉じてしまったり、クライアントの事業の全体把握ができなかったりする場合もありえます。このことを認識しながら、その弱点を補うための視点を持つように心がけています。

博報堂 ストラテジックプラナー/テクノロジスト 新倉健人氏

博報堂 ストラテジックプラナー/テクノロジスト
新倉健人氏

2015年博報堂入社。以降マーケティング業務に従事。その一方メディア開発、AI開発を実施。個人ではアート作品を制作し、文化庁メディア芸術祭などで受賞歴あり。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/26 07:30 https://markezine.jp/article/detail/35778

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