花摘流:企業・ブランドコミュニケーションのスタンス
花摘:ここまでは、上司の受け売りでもあるのですが(笑)、これから先は、私自身のSNS運用の経験から、企業・ブランドコミュニケーションのスタンスについてお話していきます。私が考えるスタンスは、下記の4つ。順番に紹介します。
1)全員が「中の人」。
2)社員が広めたくなるか
3)そこに「推しがい」があるか
4)スープストックトーキョーSNS店
1)全員が「中の人」。
花摘:中の人といえば、通常SNS担当者のことですが、SNSを運用してきて、ブランドで働く人全員が中の人だな、とより強く思うようになりました。社員は「広義の中の人」という意識を持っていることが大事です。
ではSNS担当はというと、SNSというツールがブランドを代表して使える人です。つまり、「中の人」は「中の人たちの声」を、その役割を活用しながら、世に広く届けていくことができる人。そのためには「中の人たち」が言いたいことを代表して伝えるぞ! という気持ちでこれまで担当してきました。

花摘:たとえば、とても思い出深い事例としてASTY静岡店の最終日、店長からの長いメッセージ全文をInstagramに載せました。ツイッターは140字なので是非読んでとインスタにリンクしました。すると、静岡店を利用してくださった多くのお客様が、「今までありがとうございます」「次のお店をまたすぐに出してね」など、リプライやDMなどとても沢山の声をかけてくださいました。それまでは、閉店の際はサイトに掲載することと、店頭に紙を貼って……というケースが多かったのですが、SNSを使って、中の人たちの気持ちを伝えることで、ブランドの姿勢をより伝えることができたように感じています。
今は店舗ごとにSNSをやったり、発信したりはできませんが、働いている人の思いや、どんなふうに働いているか、それを広く伝えていくのがSNS担当者の役割だと思っています。
2)社員が広めたくなるか
花摘:会社やブランドのことを、社員自身が広めたくなるかがポイントだと思っています。社員や関係者がどんどんリツイートしてくれるかどうかで広がり方は変わってきますし、公式の大きな力になります。
私は公式として「気持ちが乗っているコトバを発信する」ことを大切にしてきました。それによって社内のメンバーが「本当にそうなんだよね!」と共感してくれる瞬間を作れるか。そんなことを心にとめてトピックや文章を作っています。
3)そこに「推しがい」があるか
花摘:みなさん、好きなモノや応援している「推し」があると思うんですが、ブランドやお店にとも、お客さんが推したい、推しがいがあると感じていただけることはとても大切だと思っています。
弊社の場合の例では、コロナ自粛中には、様々なメッセージを出していました。そうした取り組みに対して多かったのが、「スープストックトーキョーを信じていてよかった」「やっぱり信頼できる」「これぞスープストックトーキョーだ」という信頼の言葉でした。お客さん自身が、ツイートまとめを作ってくださったりもしました。
SNSで発信する以前に、自分たちやお客さんがそのブランドを「推せる理由」を作っていくことが必要だな、と思います。
「推せる理由」のほかの一例でいえば、弊社はLGBTQフレンドリー企業として取り組みを始めていますが、昨年はレインボープライドのパレードができなかったため、SNSで発信をしました。これに関しても、「スープストックトーキョー、全面的に推せる!」「私はあまり知らなかったけど、スープストックトーキョーきっかけで知りたいと思いました」といった声を沢山いただきました。

4)スープストックトーキョーSNS店
花摘:私たちは「店舗はメディアであり、SNSを含むメディアは店舗である」と考えています。ですから、SNSは「SNS店」という店舗と思って動かします。
スープストックトーキョーには1,500人近いスタッフがいますが、毎日の営業の中で、お客様のために今できることをつねに考えて、常にじぶんなりの言葉でお客様と接しているメンバーばかりです。私も、そんなほかの仲間と同じようにSNSでお客様に対してできることを考え、行うというのが基本スタンスなのです。