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生活者データバンク

イノベーションを起こす健康消費の捉え方

 本稿では、セルフヘルスケア市場に着目し、同市場の現状やイノベーション創出に効果的な健康消費の新しい捉え方について解説する。

※本記事は、2021年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』63号に掲載したものです。

健康消費への注目の高まり

 生活者の健康を取り巻く環境は変革期にある。増え続ける医療費、世界で最も先を行く高齢化社会において、より健康な社会を持続的に実現するには、メディカルケア(患者の治療)からセルフヘルスケア(生活者自身の健康消費)を中心とする社会への革新的なシフトが求められている。そのような社会的背景から、社会課題の解決に挑戦するCSV経営、デジタル機器や遺伝子検査など技術革新を機会に、セルフヘルスケア市場へ様々なプレイヤーの新規参入や事業投資が拡大している。本稿では、注目が集まるセルフヘルスケア市場の概略とイノベーション創出に効果的な健康消費の新しい捉え方を提示する。

セルフヘルスケア市場とは

 セルフヘルスケア市場とは、生活者自身が健康目的で商品やサービスを消費する市場の総称である。市場を構成する代表的なカテゴリーは、健康食品・サプリメント、一般食品・飲料、一般薬、スポーツ・運動、施術・美容サービス、睡眠・入浴、健康機器があり、最新の推計値で市場規模は7兆円を超え巨大だ。市場のカテゴリーシェアは、一般食品・飲料と健康食品・サプリメントを合わせたヘルスケアフーズ市場が大きく、市場全体の約5割を占める。次いで、一般薬2割、その他のサービス・機器などで残り4割を占める(図表1)

図表1 セルフヘルスケア市場のカテゴリーシェア(タップで画像拡大)
図表1 セルフヘルスケア市場のカテゴリーシェア(タップで画像拡大)

 昨今、セルフヘルスケア市場は、食の機能訴求、医療費抑制、デジタルイノベーションをキーワードに隣接市場からの成長を促す圧力が高まっている。特に「食の機能訴求」の圧力は大きく、機能性表示食品制度の2015年開始から現在まで約900社から3,600件を超える機能性表示食品の届出(2021年1月時点)があり、スーパーやコンビニの店頭には従来なかった健康機能を訴求する商品が日常的に並んでいる。免疫機能改善を訴求する一般飲料など商品の幅も広がり、健康志向を取り込む商品開発の動きはさらに活性化している。

 直近の新型コロナウイルス感染症の流行も市場の成長を後押しする。コロナ禍で、生活者の半数以上が健康への意識を高めており、特に「健康維持・増進」「疲労回復」「風邪などの感染症予防・改善」「栄養バランス」「減量」への関心が高まっている(図表2-1、2-2)

図表2 コロナ禍の健康意識の変化(タップで画像拡大)
図表2-1 コロナ禍の健康意識の変化(タップで画像拡大)
図表2 コロナ禍の健康意識の変化(タップで画像拡大)
図表2-2 コロナ禍の健康意識の変化(タップで画像拡大)
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この記事の著者

田中 勇吉(タナカ ユウキチ)

株式会社インテージ コンサルティング部 コンサルティング・マネージャー
コンサルティング会社二社及び現職で、主にヘルスケア、情報・通信サービス業界の事業戦略、海外進出、M&Aをテーマに多数プロジェクトに従事。規制・技術環境の変化や生活者ベネフィットを起点とする業界横断の市場分析から、既存事業の再構築、新規事業の企画・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/29 06:30 https://markezine.jp/article/detail/35826

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