コロナウイルスが売り上げに与えた影響 EC強化に活路を見出す
フロムスクラッチの大薮氏は、マーケティングプラットフォーム「b→dash」のカスタマーサクセスに従事。導入社数は500社を超え、さまざまな企業で活用されている「b→dash」のコンセプトは、「ノーコードとAll in One」だ。
企業内に点在するデータをすべて取り込み、SQLいらずのノーコードでデータの加工・統合ができるほか、CDPやメール配信、プッシュ通知からウェブ接客、レコメンドまで、データマーケティング施策に必要な機能がAll in Oneになっている点が特徴。店舗とECの両方を展開する企業にも導入が増えているという。
今回の事例に登場する企業もまた、全国に約20の店舗とECを展開しているA社。手芸用品などを扱う専門小売企業だ。
はじめに大薮氏は、コロナ禍におけるA社の状況について説明した。
「A社は2020年のはじめまで右肩上がりの成長を続けていましたが、少しずつコロナの影響を受け、店舗の売り上げが大きくダウンしてしまいました。対して、ECでは大幅に売り上げが伸長していたため、店舗売り上げ分のカバーも視野に入れ、ECの強化という経営判断を行いました」(大薮氏)
ツール費用とデータ準備の壁が施策を阻む
しかし、多くの企業がそうであったように、コロナ禍の影響でA社もマーケティング予算の縮小は避けられなかった。そのため、広告施策による新規顧客獲得ではなく、既存顧客へのアプローチによりLTVを伸ばす施策を実施することに。
そこで、A社が考案したマーケティング施策が以下だ。
- 購入単価向上施策:購入履歴に基づいた併せ買い商品のクロスチャネル(メール、LINE)訴求
- 購入単価向上施策:ECサイト閲覧中の商品に基づいた併せ買い商品のポップアップ訴求
- 購入回数向上施策:カゴ落ち商品のクロスチャネルによるリマインド
- 購入回数向上施策:店舗購入会員を対象としたEC限定クーポンの配布
データをもとに練られたOne to Oneマーケティングの施策を打ち出したわけだが、ここでA社は、ツール費用の壁とデータ準備の壁という2つの壁にぶつかってしまう。
ツール費用の壁とは、施策実行に伴い必要になる、MAツールやLINE配信ツールなどの導入コストだ。これらを新規で導入する場合、年間コストは約2,000万円になるとわかり、そもそものマーケティング予算を超過してしまうことが判明した。
一方、データ準備の壁とは、施策に必要なデータをそろえること。社内システム内に保持されていないデータの作成だけでなく、点在するデータを統合する必要もあった。
このデータ作成・統合には、プログラミングコードのSQLを用いるが、A社のマーケティング部にはSQLを扱える担当者が不在。そのため、社内の情報システム部へ依頼するが、タスクの順番待ちとなり「マーケティング部の案件は2カ月後の着手になってしまう」と告げられた。ならばと外部ベンダーへ相談するも、かかる費用はタスク1回につき200万円。ツール費用と同じく、予算内では対応しきれない金額であった。
このような状況下でA社は「b→dash」を検討。「ぶつかっていた2つの壁を越えられる」と導入を決定した。
「『b→dash』は、データの準備である作成・統合をはじめ、アウトプットのMAやBI、ウェブ接客など幅広い機能を持っており、データ準備に伴うリソースやコストは不要です。なにより、ノーコードでマーケティング担当者が自らデータ加工できる点をご評価いただきました」と大薮氏は振り返る。