一目で状況把握が可能なレポート機能で、PDCAを回していく
商品購入回数の向上に対しては、次の施策を実行した。
対象は、ECで商品をカゴに入れたものの未購入の会員。
まずはEC訪問の翌日に「カゴに残っている商品があります」とリマインドのメールを送信する。メール開封の有無で分岐させ、商品未購入の会員にはカゴ落ちした商品の在庫数に合わせてメールを配信。在庫が10個未満の場合は「在庫が残り少ないこと」を、在庫が10個以上ある場合は「お買い忘れなく」のメッセージとともに、購入履歴を参考にしたおすすめ商品も訴求した。
そして、一定の日数経過後に再び購入実績を確認。未購入の場合は、クーポンを配布した。この施策もメール未開封会員にはLINEでアプローチした。
4つ目の施策、EC限定クーポンの配布では、会員がサイトへ来訪したタイミングで店舗購入の有無を判別。店舗購入の実績がある会員に対しては、ポップアップでEC限定クーポンを表示させた。
以上の施策を「b→dash」のレポート機能でモニタリング。メール成果のレポートでは、配信メールのコンテンツごとに配信数、開封率、クリック数などが一覧で把握でき、そのメールが最終的な売り上げにつながったかも判断できる。
「『b→dash』のレポートは施策別に振り返りやすくなっています。たとえば、開封率が低い場合、まずコンテンツの件名を改善する、次にコンテンツ内容を変えるなどのPDCAを回していきます」(大薮氏)
また、月次LTV状況確認レポートでは、指標としていた平均購入回数と平均LTVを一目で把握できる。レポート項目をクリックしていくと年代別のデータを確認できるなど、詳細を追うことも可能だ。
カスタマーサクセス支援があってこその成果最大化
では、今回の取り組みを経て、A社のLTVはどう変わったのか。
今回は、LTV=初回購入から6カ月後の累計の購入金額(1人当たり)と定義。大薮氏曰く、2019年の10月ごろは6,115円だったLTVが、「b→dash」導入後の施策実行で7,032円と115%アップしたそうだ。
また、得られた成果はLTVの伸長だけではない。大薮氏は「b→dash」導入が創出した価値を次のようにまとめた。
まずは、A社の予算内で計画通りに施策を実行できたこと。「コロナ禍でマーケティング予算の削減がある中、さまざまな施策にトライしたいというご要望に応えることができました」と大薮氏。
また、工数費用の抑制も成果として挙げた。社内エンジニアや外部ベンダーにリソースやコストを割くことなく、マーケター自身でデータ準備から施策の実行、振り返りまで完了できる。さらに、施策のPDCAをスピーディーに回せる点も大きなメリットだろう。
大薮氏は、「『b→dash』は、プロダクトを提供して終わりではありません。カスタマーサクセスの部門でしっかりと施策の実施、分析までをサポートする体制を整えています」とまとめ、セッションを締めくくった。