SATORI社急成長の3つのフェーズ
しかし、前述のSATORI流リードナーチャリングに至るまでには、長い道のりがあった。高橋氏はこの長い道のりを2つ目のトピックである「これまでの変遷」として3つの段階に分けて解説した。

2015年9月の創業から2年ほどの間は、「マーケティング&セールス立ち上げ期」。マーケティング担当がブログ記事を継続的に公開し、共催セミナーを月に3回、小規模な自社単独セミナーを月10回程度開催。また、年に数度、展示会出展を行い大量の見込み顧客の情報を獲得していた。その後メルマガを配信し、セミナーへと誘導、検討度度合いの高い見込み顧客を獲得するなど、マーケティングからセールスへの供給量を増やし、セールスが数多くの商談の中で受注を決めてきた時期だったという。
第2段階は「インサイドセールス立ち上げ期」。インサイドセールス部門を立ち上げたことで、マーケティング担当は第1段階よりもより多くの新規見込み顧客情報の獲得のために奔走した。また、コンテンツ作成を仕組み化し、Webサイトでダウンロードできる資料や動画、事例など多くのコンテンツを生み出した。
「『MAツールを検討する際に名前を挙げてもらえるコミュニケーションとは何か』を軸として、施策に取り組みました。インサイドセールス部門を立ち上げたことで、マーケティング担当から供給される見込み顧客に対し、丁寧にアプローチできるようになるなど、組織による適切な役割分担ができ、日々大量のアクションを起こせるようになりました」(高橋氏)
そして現在取り組んでいるのが「新・SATORI流リードナーチャリング完成への挑戦」だ。
マーケティング担当は、より精度の高い見込み顧客情報の獲得に取り組んでいる。また、見込み顧客情報のリッチ化のため外部データを活用する一方、自社企画のイベント開催など、自力でのリード獲得を強化するチャレンジを行なっている。
インサイドセールス担当は、MAで判定した優先順位をもとに見込み顧客へ電話・メールでコミュニケーションし、そこから得た属性情報や検討状態をMAに格納しているリード情報へ付与している。また、アプローチ結果をマーケティング担当へ共有しコンテンツ企画を改善するなど、マーケティング担当と日常的に連携している。そしてフィールドセールス担当は、商談で得られた顧客の課題や検討状態などの情報を記録してフィードバックするという組織的な動きがとられている。
どの組織段階でもMAは不可欠
続けて高橋氏は自社の沿革を振り返って整理し、「『成果を出し続ける組織作り』の4STEP」として解説した。

先述した3つの段階の前にあたる「マーケティング立ち上げ期」では、自社のプロダクトサービスをアピールするWebサイトが存在することがスタートのため、その時点ではまだ新規見込み顧客情報を獲得し始めることができない。そのため、この段階ではWebサイトから問い合わせや資料請求を獲得できる基盤作りが求められる。
このとき、同社の成長を促したのがMAツールの存在だった。Webサイトで獲得した新規見込み顧客情報をMAツールにもれなく蓄積することで、その後のマーケティングやセールス施策の資産としていた。同社がマーケティング・セールス組織を年々大きくできた理由の一つには、マーケティング組織を作り上げる段階から自社のMAツールである「SATORI」を活用していたことがとても大きいという。
また、この段階のGOALとして、新規見込み顧客情報の獲得数を増やすための仮説を複数持っておくと整理された。なぜなら、次の1段階目に進んだときには、パス先のセールス担当が商談を待っているからだ。1段階目において新規見込み顧客情報の獲得を加速させるために、0段階目で多くの仮説を持っておくことが重要だ。
「SATORIでは、見込み顧客の検討や購入を後押しさせる情報であるキラーコンテンツを閲覧した人をホット見込み顧客とみなし、リストアップします。これにより、1段階目で商談の供給体制を作る際、見込み度合いの高い見込み顧客と効率的に接触することができるわけです。こうすることで、序盤の立ち上がりスピードに差が出てくるので、マーケティング組織を立ち上げる段階でキラーコンテンツを確立することはとても大事です※」(高橋氏)
