“人の営業”に近いコミュニケーションで長期的な関係性の構築を
MarkeZine編集部(以下、MZ):アドビは2018年にマルケトを買収統合しました。現在は顧客体験を最適化するデジタル基盤「Adobe Experience Cloud」において、BtoBマーケティングを強化する「Adobe Marketo Engage(以下、Marketo Engage)」を展開されています。
アドビは実際に自社のマーケティング活動でMarketo Engageを取り入れられているということで、今回はアドビ社内でのMarketo Engage活用についてお話を伺っていきます。はじめに、おふたりがMarketo Engageを使って日々どのような業務をされているのかお聞かせください。
松井:DXマーケティング本部 マーケティングマネージャーの松井です。私はメールコミュニケーションを全体的に見ており、またカスタマーマーケティングという形でMarketo Engageをご利用いただいているお客様向けの活用支援も担当しています。
メールコミュニケーションでもカスタマーマーケティングでも、お客様に寄り添いながら必要としている情報をお届けしたり、Marketo Engageを活用する場所やきっかけを提供したりすることで、お客様のマーケターとしての成長をお手伝いできればという意識でやっております。
虻川:同じくDXマーケティング本部の虻川です。私は、Adobe Experience Cloudのデマンドジェネレーションを担当しており、その中でも特にMarketo Engage関連の施策に注力しています。ウェブサイトやウェビナー、デジタル広告などの企画・制作・管理などが主な業務です。今の担当になる前に、マルケト時代から3年ほどインサイドセールスを経験していました。
MZ:具体的な活用の話に入る前に、アドビではどのような顧客との関係性を理想とされているのか。前提となる考え方や思想の部分を教えていただけますか?
松井:私は、お客様の購買のタイミングは、ベンダー側がコントロールできるものではないと思っています。お客様は意識していないし気が付いてもいないが、必要だと潜在的に思っていることを継続的にお届する。これを繰り返しているうちに、お客様の中で我々の認識が徐々に大きくなり、購買に関わるイベントがあった時に相談先としてアドビを思いついてもらえるようになる。これが長期的な関係性を構築する意味なのではと考えています。「この会社って私のことわかってくれているな」と思ってもらえるのが理想ですね。
虻川:これはMAベンダーとして以前から大事にしていることですが、1人の営業マンが10人のお客様に対してならできるコミュニケーションがありますよね。「今こういうツールの導入を検討しているから、こういう情報やコンテンツをご案内しよう」などという“人の営業”を、人力で1,000人のお客様に対して行うことはできません。テクノロジーによってこの限界を取り払い、1,000人に対するマーケティングコミュニケーションをできるだけ“人の営業”に近づけていくことが、Marketo Engageを利用することによる最終的なゴールだと思います。
アドビのマーケティングは「Marketo Engage」なしでは成り立たない
MZ:企業によって、マーケティングにおけるMAの位置づけはさまざまかと思います。アドビにとってMarketo Engageはどのような位置づけにありますか?
虻川:一番簡単な言葉にすると、ビジネスを可視化するためのツールです。リード獲得から受注、その後のLTV向上に至る一連のプロセスのどこにボトルネックがあるのか、マーケティング活動としてはどのチャネルが成果をあげているのか、各施策の効果はどうか、どれくらい収益に貢献しているかをMarketo Engageで可視化してから、連携させている社内のSFAのデータとあわせて、マーケティングの各施策のPDCAを回しています。
MZ:あらゆる施策を一気通貫で管理するために、まずMarketo Engageが欠かせないんですね。松井さんは「Marketo Engageはもはやインフラのような存在である」と捉えておられるとうかがいました。
松井:日本の市場だとMAツールという言い方をしますが、私はMarketo Engageをツールだとは考えていません。なかったらマーケターとしてマーケティング活動ができません! というくらい、あるのが当たり前になっています。
顧客との関係性を長期的に構築することを重視するビジネスであれば、MAはなくてはならないですし、きちんと正しく活用していたら、なくてはならないものになるはずです。Marketo Engageをご利用いただいているみなさんにも、同じように思っていただきたいというのが個人的な思いですね。