SDGsウォッシュをどう捉えるか? 海外企業の炎上から考えるリスク
MZ:続いて、企業がSDGsアクションに取り組む時の注意点を教えて下さい。たとえば、SDGsアクションの発信と行動が伴っていない「SDGsウォッシュ」という言葉も聞くようになりました。
太田:SDGsの17の目標は、社会、環境、人権など幅広い領域から設計されています。そのため、「あの目標は大事にしているけれど、こちらの目標への関心が低いのでは?」と捉えられるケースが出てくるリスクはあると思います。
MZ:SDGsは長い時間をかけて取り組んでいくものです。タイミングによっては、ビジネスや社会貢献などのあらゆる企業活動の中で矛盾があるかもしれませんね。
太田:たとえば、海外のあるアパレルメーカーは、環境にやさしい原材料を使い、製造過程をすべてオープンにするなど、透明性の高さでミレニアル世代に支持されていました。しかし、業績の低迷にともない、コロナ禍で非正規雇用の方を一斉に解雇したというニュースがあったのです。社会に対してよいことをするというイメージが高かっただけに、この判断には大きなバッシングが起こりました。
企業なりの事情があるとはいえ、生活者はすべて同じブランドで起きた出来事として受け止めます。やはり横断組織で情報を共有しながら取り組むこと、消費者視点でていねいなコミュニケーションを意識することが重要です。
企業や生活者と一緒に、社会を変えていくGood Tideを作りたい
MZ:終わりに、これからGood Tideが実行していきたいことを教えて下さい。
太田:引き続き、企業のSDGsに対する関心・理解を深めるサポートをし、その企業のSDGsアクションに賛同が増えるような戦略立案とコミュニケーション設計に取り組んでいきたいです。そして、SDGsの達成を真剣に目指す企業を生活者が自然と支持し、自分自身も行動したいと変化が生まれるような仕組みを提供したいと考えています。
MZ:トライバルメディアハウスでも、今年の1月に「SDGs方針」を策定されています。
太田:はい、昨年の10月にプロジェクトがスタートし、「Goal12:つくる責任 つかう責任」「Goal17:パートナーシップで目標を達成しよう」「Goal10:人や国の不平等をなくそう」の3つのSDGs方針を策定しました。これらを目標にマーケティングを通じて持続可能な社会づくりと課題解決を目指したいと考えています。
もちろん、策定することがゴールではありません。今年の4月からSDGsをより理解し、社内に浸透させていくための研修をスタートしています。
私は、NGOで発展途上国の支援やソーシャルビジネスの立ち上げ支援などを経験してきたバッググラウンドがあり、SDGsアクションとマーケティングの取り組みに強い使命を感じています。SDGsをきっかけに生まれた、社会をよりよく変えていく流れをさらに促していきたいです。
