定性調査から得たインサイトをクリエイティブに落とし込む
クリエイティブにおいて、テレビCMにもWebCMにも共通しているのは、「お母さんの歓びを描く」というコンセプトだ。

子どもの成績が上がるのはもちろん嬉しいが、母親の目下にあるのは「勉強しなさいとガミガミ言いたくない」という悩みであり、楽しそうにいきいきと勉強をしている子どもの姿を見られるのは何よりも嬉しい。丁寧な定性調査から掘り当てたこのインサイトがコンセプトに反映されている。
「この3年間はずっとこのコンセプトでテレビCMを展開しています。昨年まではユーモラスな表現にこだわっていましたが、2020年はコロナ禍で学校が休校になるなど大変な状況だったので、表現の方向性を変えました。うちの子もこんな風になってもらいたい、と思わせることができたら成功だよねということで、昨年は子どもがゾーンに入っている姿を描くという表現でテレビCMを作りました」(岩﨑氏)
一方WebCMでは、実際にスクールIEに子どもを通わせているお母さんたちを集めて座談会を開催。スクールIEのどこが優れているのか、子どもにどんな変化があったのかなど生の声を引き出して編集した。座談会に出てもらうメンバーの人選から、かなりこだわって綿密に制作したという。

「協力してくれる人だったら誰でもいいよね、といった感じでやってしまうと説得力に差が出てきてしまいます。サービスの解像度が高く、かつ消費者目線で説得力のある意見を普段からくださる保護者の中から、スクールIEのスポークスマンになってくれるような保護者を探すというところは相当こだわりました」(石井氏)
テレビCMとWebCMともに地味すぎるかもしれない、という懸念もあったそうだが、真摯な表現が受け入れられ、過去最高の数字を記録。2021年春の入会数も目標値を大幅に上回る結果となった。
昨今特にデジタル広告費の伸長に注目が集まっているが、「認知獲得においては、テレビが一番低単価で効率的だというのが我々の共通理解としてあります。まだまだ使えるメディアですし、無視できない存在です」と岩﨑氏。
スクールIEという商品には自信と誇りを持っている。けれど、本当に伝えたいことがテレビCMだけでは伝わらない、という悩みを抱えていたからこそ、メディアの掛け合わせにある可能性の大きさを感じたのだろう。
足かけ3年、試行錯誤しながら進めてきたフルファネルコミュニケーション施策の成功の要因は、インサイトの調査から施策策定、クリエイティブ、アロケーション、効果分析、運用までをテレビとデジタル地続きで行うことができる、スクールIEのチーム体制にあるのかもしれない。