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GA4時代に備える!

これまでのGoogle AnalyticsとGA4は、何が違うのか? 5つの特徴を解説

GA4の5大特徴

1.クロスデバイス計測

 1つ目の大きな違いはクロスデバイス計測です。これまではGoogleのアクセス解析ツールと言っても、ウェブとアプリでツールも管理画面もバラバラで、しかもアプリだけでも複数のツールが存在しており、データが分断されてしまっている状況でした。

 一方、GA4では「データストリーム」という形で、ウェブやアプリのデータを1つのツールに一元化して取り込むことが可能になりました。

データストリームの概念イメージ(タップで画像拡大)
データストリームの概念イメージ(タップで画像拡大)

 加えて、一部UAでも利用できましたが、Googleシグナル(Googleアカウントへのログイン情報)や企業独自のIDを使うことで、クロスデバイスでもユーザー単位の計測が簡単に高精度で実現可能となっています。

GA4のデバイス重複レポート(タップで画像拡大)
GA4のデバイス重複レポート(タップで画像拡大)

2.イベントベースの計測設計

 従来のUAにおいては「ページビュー」や「トランザクション」など、複数種類の「ヒット」と呼ばれるデータを取得することで、ユーザーがセッション内でどんな行動を取ったのかを計測していました。しかし、ウェブとアプリではユーザー行動が異なるため、クロスデバイス計測が前提のGA4においては従来のセッションやページビュー中心のヒットの概念は合いません。

 そこでGA4ではすべてを「イベント」として扱い、各イベントに名前を付けてバリエーションを持たせることで、クロスデバイスを含めた柔軟な計測に適応させる設計になりました。

 また、現在では1つのページ内で動画を視聴したり、ファイルをダウンロードしたりということも一般的になっています。同じ1ページビューでも、ページのスクロール無しですぐに離脱したものと、ページの下部までスクロールして動画視聴を行ったものでは全然違います。

 GA4では新たに追加された「拡張計測機能」の設定をオンにするだけで、スクロール、サイト内検索、動画視聴、ファイルのダウンロードなどのイベント計測が可能になっており、こうしたイベントベースでユーザー行動を把握しやすい設計になっています。

3.レポートの進化

 計測設計が変わったら、当然レポートも変わります。GA4では、ホーム画面からアクセスできるレポートの構成、「分析ハブ」による分析機能の強化、そしてBigQuery連携機能の追加という点でレポート機能が大きく進化しています。

 UAのホーム画面でもユーザーや集客などのタブからセッションごとの詳しいデータが確認できていましたが、GA4では「集客」「エンゲージメント」「収益化」「維持率」というユーザーのライフサイクルに沿った4つのシンプルなレポートに再構成されています。デバイスを跨いでデータを計測し、ユーザーライフサイクル中心の分析をしやすい点はGA4の大きな特徴と言えます。

 分析ハブではディメンションや指標を組み合わせて、管理画面上で柔軟な分析が可能です。予め分析のテンプレートが複数用意されており、分析やデータのビジュアライズが簡単にできるようになっています。

分析ハブでのレポート画面イメージ(タップで画像拡大)
分析ハブでのレポート画面イメージ(タップで画像拡大)

 また、BigQuery(Googleが提供するデータウェアハウスソリューション)への連携が可能になったため、より高度な集計や機械学習を使った分析も可能になりました(※以前は有料版のGA360のみBigQuery連携が可能でした)。

 便利な機能が追加された反面、ビューの概念はなくなり、マイレポート(カスタムレポート、保存済みレポート)も廃止されました。今後は分析ハブでのテンプレート保存、データポータルでのダッシュボード化、カスタムオーディエンスを使ったセグメントフィルタ、などで対応していく必要があります。

4.機械学習の本格導入

 これまでのUAでもスマートコンバージョンなど機械学習を活用した機能は存在しましたが、GA4からは機械学習が主要機能として本格的に導入されています。今後もアップデートで機械学習関連の機能は追加されてくると思いますが、現時点では「予測機能」と「アナリティクスインテリジェンス」が主要な機能として存在しています。

 予測機能では、過去の訪問や購買などのユーザーデータを基に、機械学習を使って今後1週間の購買予測や、離脱可能性が高いユーザーの予測ができます。また、予測機能をもとにしたカスタムオーディエンスも作成可能になっており、Google広告のアカウントとリンクすることで広告配信にも活用できます。これにより、たとえば離脱の可能性が高いユーザーへのリエンゲージメント配信や、購入可能性が高いユーザーへのターゲティング配信、または配信除外なども可能になります。

予測機能を使ったオーディエンス作成画面(タップで画像拡大)
予測機能を使ったオーディエンス作成画面(タップで画像拡大)

 アナリティクスインテリジェンスは「質問する」という形で、「先週のユーザー数」や「収益で上位の国」などを簡単に把握することができる機能になっています。今時点では少しレポートを見ればわかるようなシンプルな質問から選ぶ形でしか使えませんが、将来的にはアカウントごとにKPIを自動で判別し、より複雑な指標などもAIアシスタントが教えてくれるような形に進化していくと予想しています。

5.プライバシー保護への適応

 最後に、プライバシー保護への適応もこれまでのGAと異なるポイントです。MarkeZineの読者の皆さんの中には「GDPR」や「ポストCookie時代」というキーワードに馴染みのある方も多いと思いますが、Googleも当然これらの変化に適応し、時には自分たちで積極的にテクノロジーを開発してきました。そしてGA4もこれからの時代変化に対応できるように設計されています。

 GA4ではデータの取得、保持、使用をこれまでのUA以上に柔軟に設定できることに加え、CookieやIDがなくても機械学習モデルを組み合わせて不完全なデータを補完していくことを標榜している点が大きな特徴になっています。

 Google公式ブログの「Introducing the new Google Analytics」という記事では、「新しいGA4はCookieやID以外にも、機械学習モデルを含む柔軟なアプローチと計測手法を使って将来的な技術の進化とマーケターのニーズに適応していく」という趣旨の話があり、GA4がこれからの時代に対応した機能を備えたツールであることがアピールされています。

次のページ
変化する時代に適応する、新しいアクセス解析ツール

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この記事の著者

今中 大(イマナカ マサル)

株式会社ハリキリ 代表取締役

Google、Facebook、LinkedInなどのWEB広告運用とCRM・マーケティングオートメーションを組み合わせたBtoB企業のマーケティング支援が得意。SaaSスタートアップ→日系インターネット広告代理店→IR&デザインコンサル会社→起業という経歴を持ち、事業主と代理店(支援側)両方の立場でデジタルマーケティングとBtoB営業を経験している。

株式会社ハリキリ

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/02 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36418

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