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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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編集長インタビュー

マーケターは「概算力」と「応用力」を養え【日立・田岡氏×コラーニング・西井氏対談】

 「正解のない時代における、マーケターのスキルアップとキャリア構築」をテーマに、日立グローバルライフソリューションズでDXを推進する田岡敬氏と、コラーニングのCMO、オイシックス・ラ・大地のCMT、GROOVE XのCMO西井敏恭氏の対談をお届けする。ともに、マーケティング人材育成サービス「コラーニング」に参画している2人。自身の経験も交えながら、個人のキャリアアップと企業にとっての教育投資のメリットを説いた。

田岡氏が提唱する「DXの4象限」とは?

――田岡さんは、昨年の10月から日立グローバルライフソリューションズにて、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進されています。具体的には、どのような取り組みを進めていらっしゃるのですか。

田岡:私のミッションは、同社のデジタル事業を加速させ、物を作るメーカーからサービスを提供する企業へと変革を遂げることです。とくに、新規の事業開発が大きな役割です。すでに日立でも、オフィス空調にセンサーを設置し、故障予兆診断を行い、事前にメンテナンスを行うサービスなどを展開していますが、メーカーはデジタルを活用してお客様に付加価値を提供していかねばなりません。

 昨年11月には、西井さんもCMOをされているGROOVE X社に出資させて頂きました。GROOVE X社のLOVOTは、センシングデータ×AIが重要なサブスクサービスであり、まさに日立グループがフォーカスしている技術要素とビジネスモデルの組み合わせです。

――DXの重要性が語られて久しいですが、まずは何から手がけたらいいか?という課題感を抱える企業も少なくありません。田岡さんは、どのようなアプローチを取られていますか。

田岡:ひと言でDXと言っても、さまざまな目的がありますよね。私は、DXのエリアを「フロントエンド(対顧客)」「バックエンド(対業務)」「効率化」「価値創出」の4象限で捉えています。その上で、企業が持つ資産や目指す方向性などを加味して、何から取りかかるか、順番を考えていきます。このとき、ビジネスインパクトを見極めることも重要ですね。

(タップで画像拡大)
DXの4象限(タップで画像拡大)

西井:DXの言葉自体を、デジタル化だとかECを立ち上げることと捉えている企業は、まだまだ多いです。私も、DXには「業務」「事業」「価値」と3つの目的があると考えていますが、DXの意義を明確にしなければならないですね。

田岡:そう思います。とくに、「フロントエンド(対顧客)」×「価値創出」は企業が狙いたいところでしょうが、いきなり飛びつくのは難しい領域。まずは、自社がどういった状況なのかを判断して、どんなふうに階段を上っていくのか考えることから始めるのがよいと思います。

日立グローバルライフソリューションズ株式会社 常務取締役CDO 兼 Chief Lumada Business Officer 田岡敬氏
日立グローバルライフソリューションズ株式会社 常務取締役CDO 兼 Chief Lumada Business Officer 田岡敬氏

未知の案件でも、過去の学びを生かした応用力で対応

――先ほど、「デジタルスキルの不足」の課題が挙がりました。DXやAIと、次々に求められるスキルが変わる中、マーケターには日々の学びが欠かせません。答えがない問いに向き合うため、どのような基礎力が必要でしょうか。

田岡:応用力をつけることですね。新しいことが日々生まれてくる中、その度に一から勉強していては、間に合いません。「商品が違ってもユーザーの行動の裏にある本質は同じ」のように、応用力を用いてレバレッジを効かせることが必要です。

西井:おっしゃる通り、応用力は大事ですよね。AIにしても、マーケターは「Pythonを学ぼう」「アルゴリズム作ろう」ではなくて、「自社のサービスでどう使いこなそうか?」とソリューションを考えてほしい

 例えばTikTokのレコメンドは、フォロワー数の大小ではなくて、ユーザーの興味に基づいています。だから、無名の高校生がいきなり人気になるなど、他のSNSとは異なる体験を提供できるんです。その背景にAIがあり、サービスの差別化に繋がっている。このことを理解できる知識と、それを業務に生かす応用力が求められます。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36557

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