統合的なアプローチがカギに
――御社から見て、SNSプラットフォームで生活者にアプローチする際に気を付けるべきポイントはありますか。
広告に関しては、ターゲットのSNS利用頻度と時間を把握して出稿していくことが重要です。加えて、広告以外でのアプローチも求められます。SNS利用者にとって、広告以外のコンテンツを視聴している時間が大半を占めることになります。そのため、企業自身が公式アカウントを運営して顧客とつながったり、インフルエンサーを起用してメッセージを届けたりと、統合的なプランニングが求められていると感じています。
また、統合的なプランニングを行う上で、社内組織の連携が重要だと思います。企業の中には、広告を担当している部署と、公式アカウントの運用を行う部署が別で連携できていないケースもあります。生活者からすると、広告も公式アカウントの投稿も同じ企業・ブランドからのメッセージに見えるので、統一しておくべきです。
さらに、データに関する規制強化にともない、各SNSプラットフォーム独自のデータで広告配信を行っていくようになると考えています。そのため、人数や利用頻度以外の各プラットフォームの特性を理解し、目的の達成に必要なものを選択することが必要です。
SNSはより長時間アプローチできる場所に
――今後SNSは企業によってどのような存在になると思いますか。
SNSに関しては、徐々に上の世代の利用者が増えていく余地があると思います。各SNSプラットフォームもユーザー増加に向けて様々な施策を仕掛けてくるでしょう。ただ、国内のユーザーが大きく増加する可能性は低いと考えています。
一方で、利用時間に関しては今後も大きく伸びていく可能性があります。Twitterは音声でライブ配信ができるスペースの提供を開始し、InstagramはリールやIGTVなど動画に関する機能を拡充しています。すでにZ世代はスマートフォン利用時間のうち24%をSNSに使っていますが、他の世代でもSNSが利用時間のシェアを奪っていく形となるでしょう。
企業にとっては、より深く、長いコミュニケーションを行える場所になっていくため、時間を軸にSNSプラットフォームを使い分けていくことが求められます。そして、リーチする人数よりも質的なエンゲージメントを重視していく流れになると思います。