顧客との信頼関係を築き、推奨者へと転換する
Engage(信頼関係を築く)
Engageフェーズでは、購入者が好むチャネルで、適したタイミングで適した情報を提供し、自社と顧客のエンゲージメントを高めたうえで、商品の選択や購入をスムーズに進められる状態を構築します。取引のクロージングのみでなく、関係の構築に重点を置くわけです。見込み客の創出やナーチャリングに強みがある企業は、Engageフェーズのスコアは高いのではないでしょうか。
このフェーズのスコアを高めるには、たとえば以下の項目を推力にできます。
・Webサイトやメールのパーソナライゼーション
・データベースセグメンテーション
・マーケティングオートメーション
・リードナーチャリング
・マルチチャネルコミュニケーション(チャット、電話、メッセージング、メール)
・セールスオートメーション
・リードスコアリング
・購入前のお試しプログラム
私たちのEngageフェーズには、まだ改善の余地がありました。顧客とのコミュニケーションのチャネルは複数用意してあるものの、もっと顧客一人ひとりに合わせて深くパーソナライズする必要性を、Growth Graderによって認識できました。パーソナライズした関係を顧客と築くには、顧客情報を一元管理し、共通の認識を持つことが不可欠であるため、私たちは今このシステム調整に投資しています。
その一環として、HubSpotアカデミーのラーニングパスや、マーケティング、セールス、カスタマーサービスのプロに向けたコースを通じて、体験のパーソナライゼーションを開始しました。また、戦略的ニーズや目標を満たすために必要な製品をバイヤーが的確に選べるよう、Growth Graderなど購買支援ツールの開発や、データの新しい活用方法に重点的に投資しています。
Delight(満足させる)
Delightフェーズでは、顧客が目標達成できるよう助け、支援し、能力を引き出します。顧客の成功があなた自身の成功であることを、忘れてはなりません。Delightフェーズのスコアが高ければ、顧客のニーズに応え、課題を解決できているということになります。
このフェーズのスコアをさらに高めるには、次のような推力を追加することができます。
・セルフサービス型コンテンツ(ナレッジベース、チャットボット)
・プロアクティブなカスタマーサービス
・複数チャネルを利用できるようにすること(チャット、メッセージ、電話、Eメール)
・チケット管理システム
・自動オンボーディング(導入支援サービス)
・顧客フィードバック調査
・ロイヤルティプログラム
Engageフェーズと同様に、顧客に感動を与えるDelightフェーズにおいても、やるべきことはいくつかありました。Growth Graderによって浮き彫りになったのは、私たちは顧客の問題に対応することは得意であること、その一方でもっと顧客のニーズを予測した上で解決することもできるのではないか、ということでした。
プロアクティブに顧客に働きかけるため、私たちは「Voice of the Customer」というプログラムを創設しました。これはあらゆる顧客体験のフィードバックを集めて分析し、得られた教訓を的確な行動につなげていくものです。毎月の経営会議には顧客を招き、非常に厳しいフィードバックをしてもらいます。こうすることで、顧客が本当に何を欲しいのか、何が必要なのかを直接知ることができるのです。
優れた顧客体験の提供なくして、真の成長は見込めない
HubSpotがファネル型からフライホイール型のビジネスに転換すると発表したのは、わずか2年前のことです。事業モデルやチームの中にレジリエンスを組み込むことでスケールアップ(事業拡大)し、危機的な状況にもしなやかに対応できるようにするためです。
フライホイールモデルは、当チームにも顧客にも大きな成果をもたらしましたが、我々のやるべき仕事はまだ完了していません。そして本当の意味で「完了」することは、決してありません。購入者の行動は常に変わります。市場も常に変化しています。そして世界が突然変わってしまうことも、この一年間で目の当たりにしてきました。つまり「優れた顧客体験」の定義も、絶えず進化しているのです。
優れた顧客体験を提供することなしに、成長することはできません。しかし、より良く成長するということは、損益計算書の中にある数々の項目や、フライホイールの各パーツに表れるもの以上の意味を持ちます。成長とは、今構築しているものが明日には形になっているという約束を、顧客やパートナー、従業員と交わすことなのです。
私たち自身の成長の主要な要素として、以下の4つを考えています。
・私たちの価値は、私たちの製品以上のものである
・従業員の価値は、彼らの肩書以上のものである
・顧客やパートナーは、取引規模以上のものである
・危機に直面した際の成長とは、たとえ困難であったとしても――あるいは困難であればこそ――正しいことをすることである
あらゆる企業は、スケールアップできる収益性の高い組織を作ることではなく、コミュニティから信頼される組織を作るよう努めるべきです。利己的で貪欲で、つけを未来に回すような成長の仕方も、可能ではあります。それでも私たちは、企業はより良く成長するべきだと信じています。本稿が、御社が今年、そして将来にわたってレジリエントに成長していける基盤を築く一助となれば幸いです。
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