SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

定期誌「MarkeZine」

第68号(2021年8月号)
特集「ブランドの魅力が伝わる、戦略的な顧客接点」

定期誌購読者なら
誌面がウェブでも読めます

僕たちのPMFの話をしようか

創業メンバー自ら“ドタキャン”の代わりをしたことも。初期ユーザーの成功体験を追求しPMFしたタイミー


 BtoBスタートアップのPMF(Product Market Fit)ストーリーを紹介する本連載。今回登場するのはスキマバイトサービス「タイミー」を運営するタイミーだ。従来アルバイトの採用においては当たり前だった“面接と応募”をなくし、働きたい案件を選ぶだけですぐに働ける点が特徴の同サービス。開発前からユーザーにとっての「コアバリュー」を徹底的に考え、3ヵ月でPMFに到達したものの、主戦場としていた飲食業がコロナ禍で打撃を受ける。しかしそこからいくつかのアクションを経て、二度目のPMFにたどり着いたという。

全店舗での本格導入がPMFのサイン

 タイミーは代表取締役の小川嶺氏ら4人のメンバーが2017年8月に立ち上げた。現在の主力サービス・タイミーは“すぐ働きたい人とすぐ人手が欲しい事業者をマッチングするスキマバイトサービス”として2018年8月から運営している。

タイミー 代表取締役 小川嶺氏
タイミー 代表取締役 小川嶺氏

 同サービスの特徴は、これまでアルバイトの採用時に当たり前となっていた「面接と応募」のフローを取り払ったこと。働き手となる個人はアプリ上で働きたい案件を選ぶだけですぐに働くことができ、勤務終了後にはすぐに報酬を受け取ることができる。一方の企業側も来て欲しい時間や求めるスキルを登録しておきさえすれば、条件にあった個人が自動でマッチングされる仕組みだ。

 近年は少子高齢化の影響でさまざまな業界で人手不足が課題となっているが、タイミーでは「眠っている『潜在的な労働力』を掘り起こす挑戦」に取り組んできた。採用のプロセスを簡素化することで、今まで十分に活用されてこなかった潜在的な労働力を喚起し、顕在的な労働力へと変えていくサービス。小川氏はタイミーをそう表現する。

 この特徴が個人と企業双方のニーズにも合致し、リリースから3年で200万人以上のユーザーと4万4,000を超える事業者に利用されるまでの規模に広がった

 そんなタイミーがPMFを迎えたのはいつ頃だったのか。小川氏は「30%の手数料を支払ってでもタイミーを全店舗で導入したいと思ってくれる企業が出てくれた時」がPMFだと考えており、そのタイミングはリリースから3ヵ月後に訪れたという。

 「企業にとっては1度も会わずに人を採用するなんて、今まではありえなかったはずです。30%の手数料を支払ってまで、タイミーを本格的に活用したいと思ってもらえるのか。この検証を終えることが、僕たちにとってのPMFでした」(小川氏)

 PMFに到達するまで、小川氏たちどのようなことを考え、実行してきたのか。その裏側に迫っていきたい。

タイミーのPMFアクション
タイミーのPMFアクション

プロダクトを作ってから「PMFに挑戦しよう」では遅い

 「アプリを本格的に作る前からでもサービスの検証はできると考えていました。PMFに至るにはいろいろなプロセスがあるため、アプリが完成して初めて『よし、PMFにチャレンジしよう』という考えでは、手遅れになる可能性があると思っていたんです」

 小川氏はPMFに対する考え方をそのように説明する。ではサービスを本格的に開発する前に何をすべきなのか。タイミーで重視したのは「どんなターゲットに、どんなコアバリューを提供するのか」を徹底的に考えること。つまり「ユーザーに一番刺さるのは何か」を考えることだったという。

 そもそもタイミーは小川氏自身の原体験が一つのきっかけとなって生まれている。実際に日雇いのアルバイトをいくつも経験する中で、その度に応募と面接が苦痛だと感じた。面接を経て、先方から「採用します」とレスポンスがない限り働き始めることができない。

 「特に日雇いの場合は明日にでも働きたいニーズがあるのに、即レスがない。根本的に働きづらい環境になっていました。ユーザー目線ではスキルなどの条件に合致していれば、働きたいと思った瞬間に働けて、すぐに給料がもらえるべき。リーガルの問題や実現可能性などは一旦置いておいて、あるべき姿から考えていったのが原点です」

 当時小川氏は現役の大学生であり、自身だけでなく周囲の学生には間違いなくニーズがあると考えた。だからこそPMFに至るまでの初期フェーズにおいては、求人を出す企業側の声にフォーカスしたという。

 「『(面接もせずに)当日いきなり店舗に来た人がきちんと働けるのか』『30%の手数料は高い』など、いくつか企業側が気にする可能性があるポイントも想定していたので、それが受け入れてもらえるのかをまずは検証しようと考えていました。サービスの特性上、企業から案件を出してもらえなければサービスは成立しませんし、反対に案件が増えれば働きたい人とのマッチングも活発になります」(小川氏)

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
飲食業界からアプローチ開始。業界選定の理由は“パッション”!?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
僕たちのPMFの話をしようか連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

チームPMF(チームピーエムエフ)

才流 代表取締役 栗原康太氏、DNX Ventures Venture Advisor / EIR 稲田雅彦氏、SPROUND Community Manager/DNX Ventures Investment VP 田中佑馬氏による取材チーム。BtoBスタートアップの手触り感をもった"PMFストー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

大崎 真澄(オオサキ マスミ)

ライター。大学在学中&休学中に複数のIT系スタートアップでインターンを経験後、フリーランスとして独立。DIAMOND SIGNALに関わる以前には「TechCrunch Japan」などでスタートアップ企業のプロダクトや資金調達を中心としたインタビュー・執筆活動を行っていた。4年前から長野県在住でフ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/09/07 15:12 https://markezine.jp/article/detail/36767

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング