ポケモン GOのプロモーションでわかったシニアのインサイト
――こうした調査はプロモーションにおいても大いに役立っていると聞いています。具体的にどういったことなのでしょうか。
梅津:満足度調査を毎月行っています。具体的には読者歴の浅い方、読者歴の長い方など区分して、データを抽出してアンケートを郵送しています。
雑誌の中には広告が差し込まれていますが、その広告記事に関しても閲読率をとり、印象に残った広告3つを質問しています。おそらくそういうことをしていること自体が多分珍しいことだと思います。この調査結果は広告を掲載してくださった企業の方にフィードバックをして「このあたりが課題で次の掲載のときは、ここをこうしよう」と具体的にフォローアップをしています。
社内のPDCAだけでなく、社外に対しても詳細にフィードバックすることで、ハルメクの雑誌を細部まで読者が読んでくださるようにバックアップをしています。
書店で売っている雑誌だと難しい場合もありますが、私たちは直接誰に雑誌が届いているかがわかるので、その方たちとアンケートを通して雑誌を共創しています。そのあたりが強みだと思っています。

梅津:たとえば少し前にポケモンさんとお取り組みをさせていただいた際に、ポケモン GOをハルメク読者に使ってもらうにはどうしたらいいかというご相談をいただきました。
ハルメクには3,300人のハルトモと呼ばれるモニターがいますが全国からポケモン GOをやっているモニターさんをかき集めてインタビューを実施しました。
最初は「キャラクターが可愛いから」や「孫と話が合う」といった答えが多かったのですが、詳しく聞くとこの世代ならではの特徴が見えてきました。それは外出や運動するきっかけになっていたのです。
こうした健康軸を誌面にも反映し、六本木でポケモン GOを使ってみるイベントを行いました。そうすると予想以上に参加者が集まり人気のイベントになりました。今はコロナ禍で開催していませんが1つのイベントとして定着しました。
次の世代に思いをはせて準備を整える
――最後に今後の展望や展開を教えてください。
山岡:雑誌でいえば、今はすごく伸びて38万近くの販売部数になっていますが、日本全体で見ると60代・70代の女性はもっと多くて何百万人もいらっしゃるわけです。これからますます多くの方に読んでいただけるように頑張りたいですね。紙の雑誌にはそれだけの伸びしろが十分あると思っています。
一方で、今40代・50代の方がハルメク世代になる頃には、情報を紙の雑誌ではなくWebでお求めになる方が主流になるでしょう。今後はWebコンテンツも充実させていって、紙でもウェブでも末永くシニアに愛されるコンテンツを提供し続けたいと思っています。動画や音声などWebならではのコンテンツ展開も検討したいです。また、読者同士のつながりやライブなどWebでしかできないことをどんどん充実させていきたいですね。
梅津:私たちのシンクタンクとして、社内はデータやインサイトを活用したPDCAが、体内に流れる血液のように本当にいい感じで循環している実感がすごくあります。今後は顧客の暮らしや生きかたの未来創造、数年後の新しい顧客像の把握に挑戦していきたいと思っています。