ブランドイメージ統一のポイント合言葉は「YSL的カッコいい」
――それぞれのタッチポイントでブランドイメージを統一するために意識されていることはありますか?
各媒体のトンマナを捉えながら、ブランドイメージを崩さず表現するというのは実に難しいところで、担当者によって力量が問われる部分もあると思います。基本的には、すべてのクリエイティブをブランドのガイドラインに基づいて制作していますが、媒体の特性に合わないものを打ち出しても意味がありません。ですので、「その媒体の中で、最も“YSL的カッコいい”ところを目指しましょう」というのを表題のように、繰り返し言っています。
たとえば、かわいらしく柔らかいイメージの雑誌に、思い切りとがったカッコいいクリエイティブを出しても読者の方はついてきてくれませんよね。ですので、その雑誌の中で一番カッコいいラインを目指して、クリエイティブを考えていきます。各媒体のトンマナに基づきながらも、“YSL的カッコいい”の基準は絶対に守る、というのがチームの共通認識になっているので、今はどんな媒体に出る時もブランドらしさを守りながらかつ大胆に打ち出せるという自信がありますね。
コロナ禍での試行錯誤
――コロナ禍で様変わりした生活者の行動様式に対応すべく、取り組んできたことはありますか?
コロナ禍になり強化したことはたくさんあります。まずは、LINEですね。以前はブランディングのためのメッセージツールという位置づけで活用していましたが、コロナ禍以降は、ECへの導線という目的が強くなりました。お得なキットの情報やサンプルクーポンを配信するなど、ECの売り上げを高めるための施策に切り替えています。また、LINEには顧客の固定化という目的もあります。現時点では、比較的LINEが開封率やリーチ率が高く、紙のDMやメルマガに代わる顧客への連絡ツールとしても重要なチャネルです。LINEのみのコンテンツやサービスを提供したり、顧客ごとにメッセージをパーソナライズしたりなど、これからさらに強化していきます。
そのほかの大きな取り組みとしては、ECのサービス拡充があります。店頭で受けていただくサービスを少しでもオンラインで実現させようと、様々なチャレンジをしています。たとえば、バーチャルメイクアップのサービスを導入し、ECで自分の顔写真にリップの色味をのせられるようにしたり、直近ではフレグランスのお試しサービスも始めました。ECでフレグランスをご購入いただいた方には、同じ香りのサンプルを同封して配送しており、先にサンプルで香りを試していただいて、好みでなかったら返品いただくことが可能です。まだまだ課題はありますが、オンラインならではの弊害というのを少しでも取り払おうと、試行錯誤を続けています。