※本記事は、2021年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』69号に掲載したものです。
BtoBマーケティング業界の人材不足をどう見ていますか?
シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役 庭山 一郎氏
1990年にシンフォニーマーケティングを設立。 1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。海外の ベンダーやエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。
近年、マーケティングの位置づけがより企業経営のコアのほうに移ってきています。マーケティングがしっかり機能しないと経営戦略の実現はできないので、これはとても良いことですね。
この変化を受けて、マーケターに求められるスキルも変化してきています。以前は、展示会のブースを仕切れる、SEOのことがわかるなど偏った専門性だけでなんとかやってこられた部分もありましたが、今は経営戦略を理解した上でマーケティング戦略の全体を見なければいけません。また、マーケティングが企業経営のコアになるということは、より多くの他部門の人たちとの柔軟な連携が求められるということにもなります。中でも、売り上げを作るという意味で、営業や販売代理店など販売の現場にいる人たちとの良好なコミュニケーションは欠かせません。
これまで求められていなかったスキルセットを急に強く求められるようになったことで、多くのBtoBマーケティングの現場で混乱が起きているのではないかと思います。
そして、約10年前のリーマンショックが起きるまで、日本のBtoB企業ではマーケティング自体へのニーズがありませんでした。マーケティング関連の書籍はBtoCのものがほとんどで、学ぶための環境も資料もない。そもそもニーズがなかった状態がこの10年でひっくり返ったので、BtoBマーケティングをちゃんとわかっている人材、ドライブできる人材の絶対数が足りていないのです。人材不足の原因はここにあります。