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リゾームマーケティングの時代

UXコンサルティングの第一人者、故人・宮坂祐氏のコンサルティング論

 2021年8月20日6時37分、日本一のUXコンサルタントの功績を持つ、宮坂祐氏が永眠した。この1ヵ月、仕事の合間やちょっとした休憩時間に、宮坂氏から学んだことを私は煩悶していた。今日は思い切って、宮坂氏のコンサルティング論を書いてみたい。私一人の視点から論じる偏見に満ちたものではあるが、宮坂氏に憧れる若いコンサルタントをはじめ、刺激を受けた多くの方々にとっても、何らかの意味があるものにできればと思う。

本記事は、故人である宮坂祐氏のご家族の許可のもと、掲載しております。

宮坂祐氏から学んだこと

 昨日、東京メトロ南北線の電車の中で、宮坂氏の父上の写真が私の目に飛び込んできた。免疫学の第一人者、宮坂昌之氏の新著『新型コロナワクチン 本当の「真実」』の広告だった。

 その写真に背中を押された。私は迷っていたのだ。「宮坂祐氏のコンサルティング論」を私の偏見で書いてもよいのだろうか?と。「ぜひ、書いてください。あなたの知っている宮坂祐を書いてくれればいいのですよ」。宮坂昌之氏は、私にそういった気がする。

 8月4日午後7時16分、あなたの奥様はメールを書いている。メールの趣旨は、<1>あなたが8月3日にくも膜下出血で倒れ緊急搬送されたこと、<2>すぐに手術を行ったが、手術後に再度出血があり、これ以上、行える治療がないこと、そして、<3>次回のお約束の会議に参加することができないこと。この大きく3点だった。

 私は、奥様からのこのメールを直接受信した訳ではない。同じプロジェクトに参加していたため、メンバーから転送されてきたのだ。

 8月2日午後に私たちプロジェクトメンバーは、宮坂氏と会議をしていた。つまり、くも膜下出血で倒れる前日だ。このプロジェクトでは、宮坂氏がUX領域を担い、私がアドテクノロジー領域を担当し、来年ローンチ予定のサービスやアプリの構想を練り始めたばかりだった。

 その日の会議では、サービスのユーザー導線を一緒に考えて、私が宮坂氏に質問しながら、宮坂氏がそれに回答する、もしくは、アドバイスをするという会議の流れだった。そのため、二人で1時間ほどずーっと話していた。だから、その翌日にくも膜下出血で倒れたとは、今でも、信じることができない。「あんなに普通に元気だったのに」と。

 メールを見た時から、覚悟はしていた。奥様のメールの行間に、覚悟と気丈さがあった。そして、私の記憶はすぐに、あなたと会食した夜のシーンに遷移していった。

 2019年12月初旬、会食の際、宮坂氏は既に独立する意志を固めていた。私がビービットのマーケティング責任者に就任する可能性があったため、当時ビービットの役員だった宮坂氏からアドバイスをもらうはずの場だった。ただ、宮坂氏は独立して一人会社をやることについて興味があり、お互いに意見交換をすることができて、充実した会食だった。

 あの時、いろいろなことを話した。独立するとはどういうことなのか、仕事と家庭のバランス、家族のこと、将来のこと、モチベーションについてなど。

 独立して一人でやっているコンサルタントは、所詮、社外の人。「金を払ってんだから、このぐらいのことはやってくれ」と夜の12時に携帯電話を鳴らして、締め切りが翌朝8時だと平気で言ってくるような人もいる。もちろん、そんな酷いことを言ってくるのは一部の大企業の数人だけなのだが、個人会社のコンサルタントは弱い立場に追い込まれることもある。

 そのような相手を上手に交わすためには、断る術を身につけておく。断っても大丈夫なように、自分が対等な関係、あるいは、リスペクトされる状況を作れる領域と能力を身につけておく。

 すべてが思い通りにはならない。世の中とはそういうもの。それを理解しつつ、挫折やコンプレックスを通じて、自分の能力の活用方法を理解していること。それが、一人会社でコンサルタントをする際のコツの一つである。宮坂氏は、それがよくわかっていて、引くところはさっと引いて、「ここぞ」というところで、的確にコメントやアドバイスをしていた。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

zonari合同会社 代表執行役社長/電通総研パートナー・プロデューサー/アタラ合同会社 フェロー早稲田大学政治経済学部卒。 1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/09/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37331

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