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MarkeZine Day 2021 Autumn

思想あるブランドが消費者に選ばれる 電通若者研究部とヘンケルジャパンが紐解くインサイトの捉え方


自己表現を叶えるコスメの1種として商品を展開

 では、具体的にどのようなコミュニケーションを実行したのか。猿田氏は「ブランドが持つ思想を引き寄せながら戦略を練っていった」と振り返る。

ボンディング・ブリーチ
ボンディング・ブリーチ

「用丸さんが解説していた通り、自分が好きなものを自由に発信することに抵抗がない人は増えています。私たちのブランドも『自分の好きなものは自分で決めて表現していこう』という思想を持っているので、その思想をキーにセルフブリーチ剤を自己表現のツールとして打ち出していくことにしました」(猿田氏)

 セルフブリーチ剤を自己表現のツールとすることで、使用者/使用シーン/スタイルの固定化という課題もクリア。タレントやインフルエンサーを起用したプロモーションでは金髪に限らず様々なスタイルを紹介し「必ずしも金髪でなくても良い」「誰もが多様な自己表現を楽しめる」というメッセージを伝えた。

 また、マスク着用時に映えるインナーカラーや「パーソナルカラー」にマッチした髪色の提案など、トレンドに合わせたコンテンツも作成。さらに小売店ではメイク用品コーナーに棚を設置するなど、ヘアカラーをメイクという日常行為に馴染ませる仕掛けを作った。

消費者は“有権者”と心得よ

 猿田氏は一連の取り組みを振り返り、選ばれるブランドになるためのポイントとして次の3つを挙げた。

 3つ目について猿田氏は次のように述べ、自身のパートを結んだ。

「今までブリーチをしてこなかった方にいきなり『セルフブリーチをしましょう』と投げかけるのは無理があります。今回は商品を単にブリーチ剤としてではなく、多くの方にとってより馴染みのあるメイクの延長線上にポジショニングしました。この戦略がユーザーのハードルを下げ、成果にもつながったのだと思います」(猿田氏)

 用丸氏はボンディング・ブリーチのコミュニケーション戦略について「正しさを押し付けないアプローチが今の時代に合っている」とコメント。企業が消費者インサイトと向き合う際の心構えを次のように語り、本セッションを締めくくった。

「ダイバーシティやサステナビリティへの関心が高まるにつれ、より良い社会の実現は政治だけでなく企業にも託されていると思います。今は生活者が社会を良くするパートナーとして企業を選ぶ時代。企業は人々を消費者ではなく“有権者”として捉えるべきであり、選ばれるための思想を持つべきだとも思います」(用丸氏)

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/24 17:46 https://markezine.jp/article/detail/37485

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