MAツール「SATORI」を使った顧客開拓
SATORIは純国産MAツールを開発し、創業から6年で1,000社を超える企業に導入されている。同社マーケティング部部長兼プロモーショングループグループ長の相原氏は、「『SATORI』のユーザーは私たち自身」という経営方針の通り、自ら「SATORI」をマーケティングに活用している。
「実際に私どものチームは『SATORI』を活用し、リード獲得から、商談、受注までを創出しています」(相原氏)
続けて相原氏は、同社における「SATORI」活用の流れを話し始めた。同社では、Web広告や展示会、イベントなどで顧客との接点を作ったのち、顧客の検討フェーズに合わせて「SATORI」でアクションを仕掛けているという。具体的には、匿名顧客に対してはプッシュ通知やポップアップ。実名顧客に対しては、メールマガジンの自動配信や、興味関心に合わせたセグメントごとのセミナー案内などのアクションがある。
それらに対する見込み顧客の反応に合わせ、セールス部門によるアプローチを行っている。「SATORI」をハブにコミュニケーションの質を高め、関心のない顧客へのアプローチを防いでいるのだ。
プロモーションの課題は「決裁層、経営層への認知」
SATORIはMAツールのローンチ以降、地道なプロモーション活動で導入企業を増やしてきた。転機を迎えたのは2年前の2019年だ。導入企業が500社を突破し、中小企業中心だったところから徐々にエンタープライズの受注も増えてきていた。資金調達を行ってさらに事業のドライブをかけていくフェーズにあった頃、同時にプロモーションへの課題を感じていた。
きっかけは「SATORI」の認知率を調べた独自調査だ。アンケートを実施したところ、900名のうち3.55%、わずか30名程度にしか認知されていないという結果が出た。「知っているMAツール」の欄には、外資系の競合サービスが名を連ねていたという。
「この結果を見て、当社のサービスがまだ知られていないということを痛感しました。当時のセールス部門責任者にも『ツールが有名じゃないからコンペに呼んでもらえない』と言われましたし、インサイドセールス部門担当には『名前を知られていないツールだと、展示会で名刺交換しても後日のお電話がしにくい』という話をされたことを今でも覚えています」(相原氏)
特に認知率が低かったのは決裁層、経営層だ。市場が急速に拡大し、競合が力を増してくる中で、「SATORI」の認知拡大が急務であることがこの調査で浮き彫りとなった。そこで、前職でマスプロモーションの経験があった相原氏ともう1名のチームが新たに編成され、「主に決裁者の認知をアップさせる」ミッションで新しい取り組みがスタートした。
KPIとしたのは「認知率(純粋想起)を3.55%からまずは5%まで引き上げること」「問い合わせ数の純増」「自社セミナーでのアンケート結果で広告接触を向上させる」「広告施策と『SATORI』の指名検索流入を相関させる」の4点だ。
「広く認知をさせるため、これまでやってこなかったことに積極的に取り組みを開始しました」と相原氏。具体的には、雑誌「Forbes JAPAN」とコラボレーションをしてムック本を制作し、展示会やイベントで配布した。
これまでの地道な顧客開拓にとどまらず、コーポレートアイデンティティやブランドイメージを刷新して世に発信していくことで、KPIとしていた4点もすべて達成し、特に認知率は3.55%から5.1%へと上昇した。