レストラン、配達パートナーの第一想起も重要
木村:オンラインフードデリバリーのカテゴリー全体を見ると、コロナ禍も影響して需要が高まり、グローバルでもローカルでも、プレイヤーが増えているのではないかと思います。競合を意識したマーケティングもされているのでしょうか。
中川:今はまだカテゴリー自体が成長しているフェーズのため、大きな方針としては、まずは市場全体を広げていくことを重視してます。
その上で申し上げると、実は日本は競合ブランドの数が最も多い国の一つと言われています。そうなるとコンシューマーの方々の第一想起も重要ですし、それに加えてレストランパートナーさんや配達パートナーさんに選んでいただけるプラットフォームになる、彼らの第一想起を意識する、という観点も大切になります。
Uber Eatsのようなプラットフォームビジネスの基本は、ユーザー、レストランパートナーと呼んでいる飲食店さん、そして配達パートナーさんの三角形をマネッジしていくことなんです。この三角形がきれいな形ですと、需給バランスが取れている状態になりますので、それを目指していろいろな手を打つことになります。
木村:パートナーさんへの向き合いには、B2Bマーケティングのような要素もありますね。
中川:おっしゃる通りB2BなのかB2Cなのかは微妙なところで、ビジネスパートナーといえば、配達パートナーさんもレストランパートナーさんもB2Bになるのですが、プラットフォームのユーザーさんという意味では、コンシューマーとも言えます。だから境界を作るというよりも、みんな人間ですので、究極的にはヒューマンインサイト、ピープルインサイトのようなものをベースにコミュニケーションしていけばよいのではないかと思っています。今年はコンシューマー向けのコミュニケーションをメインで実施してきたのですが、今後はパートナーさん向けの施策も強化していきたいですね。
木村:今のお話はプラットフォームビジネスらしい部分だと思いました。YouTubeも最近、似たようなコミュニケーションをしているように見えます。ジャルジャルさんを起用して、企業向けに「マーケティングに使ってください」という広告を出していますよね。
記事の後編では特にD2C事業者向けに、マス中心のマーケティングとデジタルドリブンなマーケティングをどのように融合させていくかについて、お話をうかがっていきます。