アメリカではより透明性の高いDSPに予算を移す動きも
では、アメリカのマーケターはブランドセーフティに対して、どのような動きを取っているのでしょうか?
2020年にeMarketerがアメリカのデジタルマーケターに対して行った調査(「Digital Ad Fraud 2020」)によると、プログラマティック広告に関する課題トップ3は以下の通りです。
・ブランド毀損につながらないプレミアムな媒体の在庫の枯渇(回答者の41%)
・アドフラウドの増加(38%)、
・リスクのあるコンテンツへの配信(34%)
ブランドセーフティに対する懸念やそれに影響されるプレミアム在庫の調達の難しさを感じているマーケターが多いことがうかがえます。
プログラマティック広告では、アドネットワークやSSPを通じて何十、何百というパブリッシャーに広告配信することが多く、各サイトのコンテクスト情報を開示されないケースが少なくありません。つまり、コンテクスチュアル(文脈)に適したブランドキャンペーンだったのかどうかが必ずしも把握できるわけではないため、知らないところでブランド毀損が発生している可能性があるのです。そのため、配信先やパフォーマンス結果の透明性に重きを置くマーケターが増え、特にオープンインターネットに関しては透明性がより高いDSPに予算を移行している傾向が見られます。
OTT、CTVへの出稿量も増加傾向に
そして、アメリカの場合は、メディア環境に大きな変化が訪れています。前回の記事でも触れましたが、コネクテッドTV(CTV)市場が拡大し、屋外広告(OOH)も徐々にデジタル化されているのが大きな傾向です。
日本においても、OTT・CTVでの広告配信については、UGCと比べると著作権意識の高い放送局などのプロがつくっているコンテンツの中に広告配信されるところが大きいでしょう。OTTはUGCに比べると専念視聴が高いという調査結果(「The Trade Desk 動画配信サービス利用実態調査2020年」)もあり、OTT・CTVへの出稿量を増やすことを検討するマーケターが特に増えています。