※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。
製品・サービスの特性によって成果が出やすい施策は異なる
才流 コンサルタント 小島 瑶兵氏
2013年にWebコンサルティング事業を行うGENOVAへ入社。営業部長として100件以上のマーケティング支援を行う。その後執行役員となり、新規事業開発を行う部署を立ち上げ、医療メディア「Medical DOC」をローンチ。公開から2年で年商10億円を達成。現在は才流にて上場企業やスタートアップのマーケティングコンサルティングを行う。
「BtoBマーケティングを強化したい」「新規リードを獲得したい」という場合、一体何から始めればいいのでしょうか? Webサイトの改善やWeb広告、SEOやウェビナーの実施など、施策ごとのノウハウや成功事例は大量に存在する一方で、その中から優先順位を付けるための考え方はなかなか見当たりません。そこで本稿では製品・サービスの特性から新規リード獲得の方向性を3つに分類し、それぞれに合ったマーケティング施策をご紹介します。
新規リード獲得の方向性は3パターン
製品・サービスが「購買目的の検索がされているか」と「対象企業が幅広いか」の観点から、新規リード獲得の方向性を3パターンに分けることができます(図表1)。
パターン1:Google/Yahoo!の検索から新規リードを獲得する
まず、第一の分かれ道は「購買目的のキーワードが検索されているか否か」です。GoogleやYahoo!で検索されていれば、検索面の露出拡大とWebサイト(LP)改善を行うことで、新規リードの獲得が見込めます。たとえば、「経費精算システム」や「MAツール」などのキーワードは検索回数が多いため、これらの製品を取り扱っている企業は、検索面の露出拡大と、Webサイト改善に注力するのが良いでしょう。
パターン2:軸ずらし施策から新規リードを獲得する
一方で、明確な市場が存在しない新しい製品群や、対象となる市場が限定的な場合には、購買目的のキーワードがほとんど検索されていないことがあります。対象となる企業が幅広い(目安:数千社以上)場合には、「軸ずらし施策」がポイントになります。「軸ずらし施策」とは、セミナーやお役立ち資料などのコンテンツを、商材が訴求したい軸ではなく、顧客の関心ごとに近い軸で作成したものです。たとえば、スポットコンサルティングサービスを展開するビザスクは、大手企業の新規事業担当者にとって有益なセミナーやお役立ち資料を数多く公開しています。
パターン3:特定企業にピンポイントでアプローチする
購買目的のキーワードが検索されておらず、かつ対象企業が限定的(目安:数千社未満)な場合には、幅広くリード獲得を行うこと自体が非効率となります。そういったケースでは、ターゲットとなる企業をバイネームで特定し、ピンポイントでアプローチするABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が有効になります。たとえば、業界特化型や東証上位500社がターゲットとなる製品(サービス)を担当している場合には、幅広くリードを獲得するのではなく、狙った企業に対してピンポイントでアプローチする方が効率的です。
皆様が担当している製品・サービスは、3つのうちのどのタイプでしょうか? 実際には「購買目的のキーワードは少しだけ検索されていて、対象企業は幅広い」などといった複合的なパターンも数多く存在します。その場合には、「検索面の露出拡大&Webサイト改善」と「軸ずらし施策」を併せて検討することをお勧めします。