どこにも負けない看板商品を厳選する
お客様の声から看板商品は生まれ、ブランドを作り上げていく。そんなお話をしてきました。ここからは「看板商品をどう磨き上げていくか?」についてお話しします。
私はビジネスにおいて「凡庸は悪」と考えています。同じようなお店や会社がある中、ある商品やサービスが集中的に選ばれているとしたら、そこに「当たり前ではない何か」があるからです。であれば、目指すべきは当たり前を超えたレベル。つまりダントツに良いものを目指すべきではないでしょうか。
その点において、『ケンズカフェ東京』のガトーショコラは凡庸の対極と言っていいでしょう。もともと本場フランス並みのガトーショコラが日本になかったことから誕生させたケーキです。当時、日本の洋菓子店で作られていたガトーショコラといえば、安価なチョコレートを使ったものばかり。そんな中、最高級のチョコレートとバターを使ったガトーショコラは評判となり、リピーターが続出しました。専門店となって以降も材料を何度も見直し、レベルアップ。ちなみに現在使っているチョコレートは、世界最高峰のチョコレートメーカーであるイタリア・ドモーリ社とフランス・ヴァローナ社がそれぞれ『ケンズカフェ東京』のために開発したオリジナル製品です。
「絶対に美味しいはず」という期待を作る
箱や手提げ袋もほかのスイーツ店とは一線を画し、高級ジュエリーのギフトを思わせるデザインにしました。海外のラグジュアリーブランドを参考にして「絶対に美味しいはず」と期待させるパッケージを追及したのです。

サイズや価格も同様です。手のひらにのるサイズで税込3,000円。今でこそ類似商品が出回り、似たような仕様を見かけるようになりましたが、こちらも一般的に考えれば「ありえない」設定です。実は3度の値上げを経ていますが、それの戦略については次回お話しします。
このように看板商品を研ぎ澄ませた結果、「どんな味か食べてみたい」と話題を集め、著名人の方々がテレビで紹介してくれるようになりました。ひしめく競合の中で小さな個人店や企業が抜きん出るには、中途半端ではダメです。やるなら圧倒的に突き抜ける。未開拓の頂上へ、最初に旗を立てるのです。そうすれば、たとえ類似品が出てきたところで、あくまでオリジナルは自分の商品だけ。それこそが、ブランドがもつ揺るぎない信頼であり、強みなのです。もちろん商標登録も並行して進めます。
あなたが手がけているビジネスにも、磨けば光る原石があるはずです。お客様の声に耳をすませて商品を絞り込み、圧倒的な差を生む看板商品づくりへと、持てる力を集中させましょう。