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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

WGSNが予知する1年後

【後編】少し先の未来の市場をけん引する4タイプの消費者像/企業が備えてアクションすべき事項

2023年に向けたアクションポイントまとめ

 ここまで、前後偏で2023年に向けた消費者のセンチメント4種とそれらが組み合わさってできる4つの消費者像をご紹介しました。全体を通して重要なのは、物理的なタッチポイント(リアルでの繋がり)を設けながら、デジタル上のカスタマージャーニーで起こる、ビジターの注意を散漫にしてしまうような状況を回避したショッピング体験をデザインする――そういった基本姿勢を保つことです。その上で特におすすめのアクションポイントをまとめておきたいと思います。

1.状況を予測しやすくするようなサービスを提供する

 これは特に想定外を嫌う「未来予測家」を念頭に置いていますが、残量をモニターしたり、事前注文によって在庫切れを回避することによって、良い値で確実に手に入れることを優先する消費者グループにアピールしましょう。

2.価格重視の消費者を価値で取り込む

 ベスト価格という圧倒的な魅力にも負けないサービスや製品の価値にフォーカスして顧客を維持していく、つまり値段が先に来るのではなく、商品やサービスの結果としてどのような効果が期待できるのか、消費者にとってのROIを伝えることです。これは消費を罪と考えて思い悩む人々の気持ちをほぐすことにもなります。

3.ダウンタイムの多様化に対応する

 心を整えるセルフケアが重要になる世界で、感情の健康を促す製品や五感に訴えるサービスを提案します。約7割の人々が大なり小なりのメンタル疲労を覚えています。それをどのように癒すか、そういった発想での商品やサービスを提案すると、それによって助かる人もまた、たくさんいるのではないでしょうか。

4.消費者と広くつながれるショッパーテインメントを活用する

 ライブストリーミング機能の向上により、マス市場に広がるショッパーテインメントを販売チャネルとして活用するのもよいでしょう。マスマーケットにアクセスできるデジタルコマースを侮ってはいられません。消費者の声をダイレクトに伝えられる小売の場をぜひ検討されることをおすすめします。

5.メタバース時代を迎え入れる

 買い物、仕事、遊び、学習の仕方を変えるデジタル空間、メタバースに対応できる戦略で未来に備えましょう。矛盾した言い方かもしれませんが、もうひとつの現実世界がデジタル上に生まれ、さらにそこでは一人ひとりが異なる空間で物事を回すことができる可能性、言い換えれば、好きなタイミングで好きなことをできる可能性が広がります。こうした未来に対応できる企業がこれから力を発揮することになるでしょう。

6.ビジネス上のアクションがエシカルであることを基本とする

 より良い社会、環境、倫理を求める消費者に応え、人を優先する企業経営によって応援してもらえる存在を目指していきましょう。エシカルという言葉はちょっと厄介(何が倫理的かは決める人によって違うので、共通した誰もが合意できるエシカルは見つけにくいため)気を付ける必要がありますが、それでも人を中心においたデザイン、設計を旨として、人に優しい世界をサポートする企業であると認識してもらうと、応援してもらいやすく、したがってビジネスとして多くの消費者を得られると考えられます。

未来は消費者の心持ちを知るところから始まる

 生活の優先事項と消費行動が変化した今、どのように消費者と繋がるのか、そのエンゲージメント戦略は見直しの時を迎えています。多くの企業がすでに自覚的ですが、お店に商品を並べ、そこへのチャネルをいくつか作って来店を待つという状況から、オムニインタラクションと呼ばれる状況にシフトしています。顧客のいる場所にこちらから出向く、「御用聞き」的発想が再び大事になると認識しています。

 不安や動乱に満ちた状況において、変化の先頭を見極めることは簡単ではありません。WGSNのようなトレンド予測企業のミッションは、社会問題や変化を認識し、消費行動にどのような影響が表れているかを紐づけ、変化に対応するソリューションとなるようなプロダクトやサービスとの関係を整理することです。

 具体的なデザインも提案していますが、それだけでなく中長期的な戦略を立てる上で着目しておくといい価値観を教えてくれるため、経営に携わる方、企業のディレクションの決定権を持つ人たちにとって重要な思考のツールとなっています。

 国内市場がシュリンクする中でも、グローバル市場で事業を拡大する道はまだまだ広がっています。具体的なデザインの背景から世界の動きを認識し、そこから次の具体的なプロダクトやサービスデザインをアプトプットする。つまりは、具体から認識へ、再び具体へ戻る、というサイクルを頭の中でぐるぐると回していくエクササイズのサポート、そして混乱や不安が続く中でも、成長のチャンスと実行可能なアクションをつかみ取るための材料にしていただければ嬉しい限りです。

WGSNが発信する知見についてより詳しくお知りになりたい方は、こちらよりご覧ください。資料をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。(2022年1月末まで)

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/06 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37900

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