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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

WGSNが予知する1年後

【後編】少し先の未来の市場をけん引する4タイプの消費者像/企業が備えてアクションすべき事項

2.皆でより良い世界の創造を目指す「新しいロマンチスト」

 次にご紹介したいのは、もっと良い世界を一緒に作ろうという、人に優しい世界を求めている前向きな人々「新しいロマンチスト」です。このグループもまた4つのセンチメント「不確かな時間感覚」「鈍感力」「希望」「モチベーション管理」のすべてが関連すると分析されています。

 辛い現実によって人々は理想の状態を夢見るようにもなり、結果として、ロマン主義的な発想が登場しています。もともとのロマン主義者たちは、博愛、自然、コミュニティを軸とする理想のユートピアを思い描いたのに対し、新しいロマンチストはある意味、“実用性”を重視します。より心豊かで、静かな生活を求めて都市を離れ、地方に移り住む人が増えているのも、この傾向を反映したものです。

 アメリカでは、成人の都市生活者の39%がパンデミックをきっかけに人の少ない地域に移ることを考えたと言います。日本の内閣府が実施した調査からも、東京23区に住む20代の35.4%が田舎への移住に関心を寄せていることがわかっています。

 また、スモールブリスという言葉への関心の高まりも見られます。これは、村上春樹さんが1986年にエッセイの中で書かれた言葉「小確幸(しょうかっこう、小さくとも確かな幸せ)」のニュアンスが英訳されて世界中に広がったものです。何気ない日々の中で実感のある幸せなひと時を求める心理も、この新しいロマンチストに繋がっています。

 こうした日常生活の質を大事にする人々に響くのは、共感を生み出す製品やサービスです。

「今」「ここ」と繋がれるプロダクト

 これまでの「生産性」「効率性」を追い求める世界の反発から、たとえば、湯たんぽのように温もりと小さな幸せをもたらしてくれるプロダクトに注目です。

気分を向上させる体験

 高級CBD(カンナビジオール)をはじめ、サイケデリック(※)な体験も科学的・社会的に認められたものであれば受け入れられます。通常販売とサブスクリプションでのアプローチが有効です。

メンタルヘルス問題へのソリューション

 寝室に置くプロジェクターのような、テクノロジーを適度に活用しつつもシンプルな発想でゆとりのない心を落ち着かせるグッズもよいでしょう。

ミニユートピアのような地域デザイン

 食材をコミュニティに提供する菜園、地元でのビジネスを促す独自通貨、地域密着型のプロジェクトを支援する企業などを組み込んだ都市開発デザインは、より良い世界を求めるロマンチストの心理ニーズにフィットするでしょう。

※サイケデリック:LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のグルグルと渦巻くイメージによって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚の形容表現。しばしばサイケと略される。(Wikipediaより)

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3.消費者としての実力を行使し、状況を変革する「不可能の実現家」

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/01/06 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37900

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