「ゲーマー」=「オタク」は過去のもの
――前回の記事では、今日までの世界的なライブストリーミング市場の成長について伺いましたが、2022年以降も成長のトレンドは続くのでしょうか?
過去数年間、ライブストリーミングはAPACおよび日本で大きな経済効果をもたらしてきましたが、2022年以降もさらに成長する余地があります。そして、その成長を牽引しているのが、ゲーム市場です。
すでにグローバルのブランドは、マーケティングチャネルとしてまだ開拓されていないライブストリーミングやゲームの可能性に気づいており、特にZ世代やミレニアル世代にリーチするためのチャネルとして取り入れ始めています。
――ですが、日本では、ゲーマーと言うとどうしても「オタク」のイメージが根強くあり、マーケティングでゲームを積極的に取り入れているブランドはまだまだ少ない印象があります。
おっしゃる通り、日本でゲーマーは「オタク」と呼ばれ、「他のものを犠牲にしてでもゲームに執着する」「社会的に引きこもったニッチな集団である」といったイメージを抱いている人もいますよね。ですが、その認識は現実からかけ離れています。
現在、APACのオンライン人口(25.7億人)のうち約62%がゲーマーであるとされており、そのAPACで日本のゲーム市場は中国に次いで大きなものとなっています。さらに、日本の総人口(7,560万人)のうち、実に60%以上がゲームをプレイしているというと、ゲーマー=オタクというイメージが過去のものであることがわかるのではないでしょうか(参照:NewZoo「Global Games Market Report 2021」)。
また、APACはゲーム市場の成長率が世界で一番高い地域で、この成長トレンドはまだまだ続きます。ゲームが広く日常的な文化となり、多くの人にとって時間とお金を費やすアクティビティになるにつれ、今後さらに成長していくでしょう。
ゲームは“個人”でなく“みんなで”楽しむコミュニケーションツールへ
――そうしたゲーム市場の成長を率いているのがTwitchですが、たしかにTwitchを見ていると、従来のゲームのイメージがガラリと変わります。
そうですね。Twitchでは何百万人ものゲームファンがストリーマーの配信を視聴し、ライブで交流しています。同じ趣味や世界観を好む人々とストリーマーが直接繋がることのできる場となっているのです。もちろん、ゲーマーの中には移動中や家にいる時に一人でゲームを楽しむ人もいます。しかし、Twitchにおいてゲームは、かつてのようなニッチで個に閉じたものではなく、デジタル上で他者と繋がるためのコミュニケーションツールに進化したと言えます。
――ゲームは「個人で楽しむもの」ではなく、「みんなで楽しむもの」に変化しているのですね。
はい。パンデミック時に他者と繋がる機会が少なくなり、より多くの人が仮想空間での繋がりを求めるようになりました。特にZ世代やミレニアル世代にとって、ゲームは日常生活に欠かせないものとなっています。現に、Twitchのオーディエンスの約4分の3はZ世代とミレニアル世代で、Twitchの急成長を牽引する存在です。