フェーズ3: Webサンプリングで 「情報提供」から「商品提供」へ
次は「Webサンプリング」です。Webで申し込んでくれた人に対して、化粧品のサンプルを配布して実際に利用してもらいます。公式ブログの公開と、このWebサンプリングあたりから今回のコミュニケーション・プランニングの意図が見えてきます。
もう一度、最初から振り返ってみましょう。今回のプランでは、最初に発表会を通じてメイクの「体験」を提供し、公式ブログや公式サイトで「情報」を提供し(同時にリアクションの場を提供し)、さらにサンプリングによって「商品」そのものを提供しています。
イベント出席者にお願いしていた情報解禁日を過ぎると、公式ブログでの記事が増え始め、続いて行われたWebサンプリングで商品を受け取った人の多くが商品の感想を自らのブログに書き込む―こうした流れによって、公式ブログが盛り上がっていきます。
最終的に公式ブログには、2006年4月から7月の間に、総コメント数が812件、総トラックバック数が187件も寄せられたそうです。総トラックバック数をそのままPGMの規模と考えたとしても、200件というのは悪くない数字だと思います。
フェーズ4: 検索のトリガーとなるテレビCM
そして最後に「テレビCM」を持ってきています。この順序の意味は「AISAS」を逆から考えるとよくわかります。コンシューマ(特に「アクティブ・コンシューマ」と呼ばれる人たち)は、興味や関心を持ったときに検索して評判を調べてから購入します。つまり「購入」の前には「検索」があるわけです。
現在のテレビCMは、まさに検索のトリガーになっています。インタビューの冒頭でうかがった「CMを流すと検索の反応がある」という言葉はここにつながるのです。その事実を把握していたからこそ、このようなプロモーション・プランを設計できたのかもしれません。
「検索(Search)」と「共有(Share)」の関係
ここで忘れてはいけないのは、検索(Search)の対象は「過去に共有(Share)されたコンテンツ」ということです。もちろん検索結果には、公式ブログを含む公式サイトも出てきます(公式サイトが検索エンジンのインデクシングに間に合わないのは論外です)。しかし、公式サイトだけではダメなのです。なぜなら、コンシューマは「他者の評価を求めて検索する」からです。ネット上の評判、つまり言及したブログが少ない商品は「売れていない」「評価されていない」と見なされます。
事前にブロガーを集めたイベントを開催したり、公式ブログやWebサンプリングを通じてPGMを構築したのは、検索結果を充実させることにねらいがあったわけです。つまり、以下のようなプランのもとにプロモーションが進行していたということになります。
テレビCM放映、そしてコンシューマの検索行動へ。

