丸吉さんのキャリアで、今に活きている部分とは?
野崎:ここまで3社での経験を振り返ってきましたが、現在の仕事に活きている点は何だと思いますか?

丸吉:顧客理解と当事者意識の2つですね。顧客理解に関しては、どの会社でも常に「どういう便益がお客様に刺さっているのか」を思考し、お客様へのインタビューや商品レビュー、SNSの口コミ、なにより自分で使ってみることを通じて、お客様を理解することに力を注いでいました。
ONE WINEにも様々な訴求ポイントがあって、どれが伝えるのが効果的か迷うこともありました。しかし、お客様へのインタビューで得られた「本格ワインを、1杯から気軽に飲みたい」という声を大事に、ブランドコンセプトを作り、その結果お客様からの評価も得られています。
そして、当事者意識に関しては、自分の今のスキルでできることで仕事の範囲を決めるのではなく、「お客様の価値創造・ビジネスを伸ばすためにやるべきことは何でもやる」という意識で経験を積んだことが今につながっています。
現在携わるONE WINEは立ち上げ期のブランドのため、販売計画設計や広告プランニング、KPIマネジメントなど幅広いスキルが求められますが、これまでのビジネスで当事者意識を持って積ませていただいた経験が血肉になっていると感じています。
優れたマーケターの力をどんどん借りる
野崎:積極的に自ら新しい職域を転職という手段も活用して経験したことで、スキルの拡充に成功しているのは、非常に参考になりますね。
丸吉:素晴らしいマーケティングプランを自分の頭だけでゼロから考えるのは、ある程度センスが求められると思います。しかし、世の中には素晴らしいマーケターが生み出したベストプラクティスがたくさん存在します。私も足立光さんや森岡毅さん、同じサントリーの室元隆志 執行役員 デジタル本部長などをロールモデルに、その方たちの記事や本でインプットした内容を自ら試して経験の少なさをカバーするようにしています。
野崎:マーケティングに関する情報は書籍やイベント等でオープンになっているものが多いのでヒントがいっぱい転がっています。そして自身のビジネスに活かしていくことが重要ですよね。参考までに、丸吉さんが情報をインプットする際に意識している点はありますか?
丸吉:特に本は情報の密度が高いので、「少しでも気になったら1秒も迷わず買う」と決めています。また、情報収集する際は「自分の携わっているビジネスに活かせるポイントはどこか」を常に意識し、見つけたら翌日すぐ行動に移すようにしています。
野崎:丸吉さんのキャリアからは、常に自分の中の引き出しを広げるアクションが多く見られました。転職はあくまでもその手段に過ぎません。情報収集も積極的に行い、それを自らの仕事にすぐ活かしていく姿勢は比較的マネしやすいと思うので、読者の皆さんもぜひ参考にしてみてください。足りない経験はインプット量でカバーできるというキャリア事例でした。丸吉さん、本日はありがとうございました。