今注目のNFTをおさらい
MZ:ここから、2021年12月にアサヒ飲料が実施した「真冬の打ち上げ花火クリスマスキャンペーン」について詳しく伺っていきます。小難しい部分もありますが、まずは、LINEのNFTについて押さえておきたく、ご説明をお願いできますか?
嶋田:はい。LINEは、2018年よりLINE独自のブロックチェーン「LINE Blockchain」を展開しています。データの破壊・改ざんが極めて困難であるというブロックチェーン技術の特性を活かし、デジタルアイテムの固有性や持ち主を証明する仕組みとして、ここ最近話題となっているのがNFTです。
LINEのNFTの最大の特長は、LINEアカウントを所有するユーザーであれば、誰でもNFTを保有することができるということ。今世界的に普及しているブロックチェーンの多くは、信託銀行の口座を開設する必要があるなど高い導入ハードルがありますが、LINEでは難しい手続きや管理が必要ありません。また、LINEユーザー同士であれば、手数料なしで簡単にNFTを送付し合うことも可能です。一般的に、NFTは送付をする際にガス代と呼ばれる料金がかかります。このガス代は現在の相場で2,000~5,000円程度です(※2022年1月時点)。こうした手数料や手続きなどを一切なくし、NFT導入のハードルを格段に下げたのがLINEのNFTの最大の特徴です。
今回「LINEで応募」で新たに提供を開始したデジタル景品は、このLINE NFTを活用したもので、LINEのユーザーであれば誰でも簡単に扱えるものになっています。
従来のキャンペーン景品にあった課題を解決
MZ: NFTやブロックチェーンと言うとどうしても難しそうなイメージがあり、キャンペーンに反応するユーザーが限られてしまいそうです。
江田:そうですよね。そういった声があるだろうと思い、昨年、実証実験を行いました。まずは自社でキャンペーンを実施し、ユーザーがどのような反応をするかを調査した形です。内容は、アンケートに回答した方にLINEのNFTデジタルトレーディングカード(以下、NFTトレカ)をプレゼントするというもので、結果としては約17万枚のNFTトレカを配布することができました。
 注目したいのはアンケート結果の内容でして、「仮想通貨などの暗号資産を保有したことがありますか?」という問いに対し、84%の方が「保有したことがない」と回答したのです。つまり、仮想通貨などに馴染みのない方でも、LINEのNFTであれば、特に抵抗なくデジタルアイテムに興味を持ち、楽しんで下さるということがわかったので、自信を持ってアサヒ飲料様にもご提案できました。
MZ:なるほど。現時点ではまだまだ先進的な施策なので、先行者利益として、通常のキャンペーンよりもメディアやSNSで話題に上がるなどのメリットもありそうです。
江田:そうですね。加えて、これまで販促施策に用いる景品には、いくつか課題がありました。たとえば、LINEポイントは広くユーザーに利用されているので、景品としての引きは強い。しかし、キャンペーン景品でブランドの世界観を表現するなどの目的もあることを考えると、LINEポイントだけでは対応しきれない場面がありました。また、スマホ壁紙など既存のデジタルアイテムを景品にするケースもありますが、簡単にコピーできてしまうという欠点があります。
従来、デジタルアイテムはコピーできることにひとつの特長がありましたが、逆に“コピーできない”という特徴が景品の価値を高めると考え、販促ソリューションとしてLINEのNFTを提供する準備を進めてきました。
